表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/99

46.普通とは……?

 私は、いつのまにか眠っていた。目覚めたら、窓から入る光の量から、もうお昼ぐらいかなと思った。


 両親は出かけたかな? 

 出て行ってみよう。よいしょ。なんとか立ち上がれた。


 居間に行くと、なんと昼間なのに父がいた。


 「何勝手に出てきてんだてめぇ!」


 わたしは咄嗟に逃げようとしたが、髪を掴まれた。


 「あ、こいつ汚ねぇ! 何しやがんだ!」


 髪についた血に触れたようだ。


 「お前は親に迷惑ばかりかけるやつだ! 思い知らせてやる!」


 今度もグーだった。ビンタの方が血が出ないのに……。何度かのグーで、わたしは再び気を失った。


 目覚めたのは、再び浴室だった。

 下着がぐっしょり濡れているから、気を失った時におもらししちゃったんだろう。気を失う前は顔をグーで殴られたと思ったけど、今はお腹も痛い。おもらしで余計に殴られたのかな……。


 窓から入る月明かりで、もう夜なんだとわかった。お腹空いたな、寒いな、わたし、なんで生まれてきたのかな? これが普通なのかな? 学校に行ってる同じ歳ぐらいの子達は、みんな元気で楽しそう。


 どっちが普通なのかな? わたしみたいなのが、たくさんで、学校に行く子が、特別なのかな? 

 

 人間の子どもは、こうやって生きてるのが、普通ってことだよね……?

 冷たい床、なんかもういいや、眠くて、寒くもなくなってきた……。このまま……。普通で……。


 「普通なわけないだろ!!」


 誰? 

 男の人の声……。でも父じゃない……。


 「君! 大丈夫? 話せる?」


 天登あまとは持参した毛布で女の子を包んだ。意識があることを確認し、経口タイプの補水液を口に含ませる。


 「よし、飲んでる。もう大丈夫だよ。よく頑張ったね」


 なんで、このお兄ちゃん、泣いてるんだろう。


 「よく頑張ったね、よく頑張ったね、こんなの普通じゃないんだよ。おかしいんだよ」


 天登あまとはスマホを取り出した。


 「一人、女の子を保護した! 妖魔は、まだ。うん、この家にしっかり気配がある。わかってたけど、この子を先に助けたかったんだ。2人とも、そっちは済んだんだね。わかった!」


 「よし、もう大丈夫だ。お兄ちゃんの背中に乗って。お馬ごっこみたいに」


 お馬ごっこって何? 知らない……。


 「とにかくまずはここを出よう、乗って……」


 天登あまとは、女の子のあまりの軽さに、思わず膝が崩れた。


 「お兄ちゃんどうしたの? 重い?」


 「そうじゃない、そうじゃないよ……。ごめんね、俺たち来るの、遅かったね、つらかったね……。とにかく、ここを出よう」


 天登あまとは女の子を負ぶって立ち上がり、アパートの玄関に向かって進んだ時、前に大きな人影が立ち塞がった。怒りで打ち震えている。


 「何してんだあああああ!!」


 天登あまとはあらかじめ左手に強めの心気弾を、ピンポン玉程度に凝縮させていた。

 「こっちのセリフだぁぁ!」


 天登あまとはそれを、妖魔と化した父親の顔面に叩き込んだ。妖魔が吹っ飛ぶ隙に、部屋を出る。アパートの階段を下り、慶次、小雪と合流する予定の河川敷へ急いだ。

 女の子を背負っているが、速度に支障はない。そこにはアクラも来てくれているはずだ。


 「ぐおおぉ!!」


 咆哮と、玄関のドアが破壊される音が後ろで聞こえた。この妖魔も、並のクラスじゃない。


 天登あまとは全力で走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ