44.弱点
慶次の強烈なパンチが入った!
「うおおおおっ!」
天登は受けながら、腕がみしみし言うのがわかる!
(心気なしでこの威力! 慶次はやっぱりすごい)
「続けていくぞ!」
左蹴りが脇腹を狙ってくる!
(狙われた箇所へ心気をスムーズにシフトさせる!)
天登は右腕の心気を強化し、慶次の重い蹴りをガードするが、支えきれずに後ろに飛ばされた。
しかし一回転して衝撃を吸収し、着地した。次に目を上げた時、慶次がいない!
「上だーー!」
慶次が天登の後方上空から飛びかかってきた! 両拳をガッチリ組み、一気に振り下ろしてくる!
(これを両腕で受けると、次に左右どちらかから腹部への蹴りが来る! どうする!?)
一瞬考えた天登は、右手に心気弾を作り、これを真上から振り下ろされる打撃に向けて放つと、強烈な両者のエネルギーはぶつかり合って相殺された。
続いてすかさず、慶次の右蹴りが飛んでくる! 天登は左腕を心気で強化して受けた。重く、骨に響く蹴りだが、なんとか受け切れた。
「天登お前、もしかして、近接戦を鍛えようとしてる?」
慶次は一時、構えを解いた。
「そうなんだ。俺は実戦経験こそ少ないけど、近接がうまくないから、いつも結局ダメージが大きいんだ」
「そうだよなあ。いくらチーム戦で遠隔に徹するとはいえ、敵に懐に入られたらひとたまりもないもんな」
「よっしゃ! じゃあ、もちょっと本気でやってやるよ! 俺も、打撃と心気のタイミングが合わないって課題がある。これは全力を出さないと鍛えらんねぇからな!」
慶次は再び構え、気合を入れ始めた。
「お、そうだ!」
慶次が付け足す。
「近接を鍛えるなら、その武具も使えよ!」
慶次は天登のジャマダハルを指さした。
「試合で見てたけど、どうもうまく使えてないよな、それ。剣とかよりも扱いやすそうだから、技法というより、要は慣れだろ。というか、獲物がないと俺の連打は受けきれないぜ!」
慶次は屈伸体操をしながら言い、天登は言われた通り、ジャマダハルを左手に付けた。
こいつは、使い方の訓練をやったことがない。実戦で使ってきたけど、装着した手では心気弾が作れないし、正直使い勝手が良いとはいえない。
瑠川さんは防御にとくれたけど、今のところ、これをつけても大ダメージを受けることが多い。
合っていないのか、使いこなせていないのか……。
「よし、行くぜ!」
慶次は大きく深呼吸し、指をボキボキと鳴らした。
「ぐおおおおおお!」
慶次の内に、大きな心気が充満していくのがわかる。
本人は打撃に心気を乗せるのが苦手というが、乗ったらどんな威力になるのか想像がつかない。
慶次が地を蹴り、攻撃を開始した!
「うおおおおっ!」
天登は、これはいくら心気を集めても、腕で受ければ骨が折れると悟った。
「ジャマダハルしかない!」
天登もジャマダハルを装着した左手に心気を集めた。
刃全体が白い輝きを発する。
心気のコントロールは天登が上だ。
天登は慶次の右ストレートに、同じくジャマダハルの左ストレートを合わせた。
まだ慶次の拳には心気が十分に乗っているようにはみえない。それでも天登のジャマダハルは弾かれた。次に慶次の左ボディが続く!
「心気集中!!」
天登は脇腹に心気を集めたが、モロに入った打撃に吹っ飛び、背後の木に激突した。
「ぐはぁ!」
思わず胃液を吐く。
「おいおい、そんなリスクある受け方してたら身がもたないぜ。そのジャマダハルを防御に使うには、甲の部分で『払う』ような動きになるんじゃないか? そしてすぐに姿勢を戻して、2撃目に備える。その間に至近心気弾って型じゃないか?」
「はぁはぁ、そうか。たしかに相手の攻撃に最大モーションの一撃必殺で応えてたら、さっきのようになる」
「そういうこった、続けるぞ!」
2人の訓練は、日が落ちるまで続いた。




