37.海堂信理《しんり》✖︎津神《つがみ》天登《あまと》
「じゃあ、行ってくるよ」
海堂信理は、父親のような付き添いの男性に、そう告げた。
小学生だろうか、最近かけはじめたに違いない、大きすぎるメガネが印象的だ。
天登も広間中央へ進んだ。
「海堂信理✖︎津神天登!はじめ!」
信理が口を開いた。
「津神天登、16歳7ヶ月、身長175センチ、体重65キロ、破邪士としてのキャリアは、修行期間を入れても同期で一番短い1年ちょっと。スタイルは遠隔型、技は心気弾。連射できるほど心気の尋常じゃない量が特長」
「俺のことを言ってるの?」
「近接戦は苦手だが、ジャマダハルを使うことで、できなくもない。剣士日皐月小雪とのコンビネーションにより、これまで5血以上の妖魔討伐数3」
「とにかく心気が豊富。体術、運動神経は人並みだが、心気を全身に巡らせることで、運動能力や強度を大きく向上できる」
天登は、相手となった小柄な少年が、自分のことをしっかり分析していることを知った。
非常に正確だ。
それに比べて、天登は相手のことをまるで知らない。
信理は、天登との戦闘方針を導き出した。
「僕も遠距離型だが、相手の攻撃軌道を読みやすい遠隔型との戦いは、やりやすいカードだ」
「睨み合っていても仕方がない。攻撃して、相手の出方をみることだ!」
天登は両手の平に心気弾を作り、同時に放った。
「心気弾!」
相手との距離は約20メートル、普通ならまず外さない。
心気弾が迫る中、信理がブツブツと何か言っているのが聞こえる。
「右手73度、左手66度、初速92Km毎時、到達0.8秒後、頭と左脇腹に命中予定」
信理は計算結果に基づき、最小限に動き、身体の姿勢を変えた。
すると心気弾は信理のすぐそばをかすめて通り過ぎたのだ!
「え?!そんなばかな!」
天登はさらに心気弾を作る。
「連射だ!心気連弾!」
両手で連続して発射し続けた。
「0.9秒後に左肩、0.6秒後に右膝、0.8秒後に腹部中央……」
信理はブツブツと計算し、やはり最小限の動きで避けていく。
「なんて子なの……」
瑠川はつぶやいた。
「打った瞬間に着弾点とタイミングがわかるなんて、それも直感でなく計算してる。破邪士かどうかにかかわらず、頭脳が天才的……」
「はぁはぁ」
天登は弾を撃ち続け、息が上がった。
「それでは、こちらからも行きます!」
信理は背中に手を回し、何かを取り出した。
それは、拳銃だった。
水色の銃身上に、クマのオブジェが載っていて、銃口がピンポン玉ぐらいある。金色の縁取りがされ、おもちゃのようだ。
信理はこの武器を構えた。
「これは心気を打ち出す銃だ。君は絶対にこの弾を避けられない」
おもむろに、信理は銃を構え、打った。
心気を貯めるようなモーションはなかった。
次の瞬間、天登の右肩に弾が命中した。
「痛っ!」
「もう一発」
再び心理が発砲した。
「うっ!」
今度は腹部に命中した。
「痛い! ものすごく衝撃だ……! 気を失うほどじゃないけど、すごく重い……!」
「それになんだか不思議だ。弾道は早くない。避けられるように思う。でも打った瞬間に、自分から当たりに行っているような感覚だ……。俺がその場所に来ることを予想して先回りで撃っている……?」




