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蛟の花嫁

青嵐は、風蘭と一緒に居て、間が持たなくなっていた。陽の元の国では、修業を抜け出し、各国を流浪の旅に出ていたが、まだ、若干、10代も半ばである。風蘭も、年上と言っても、ほとんど、青嵐と歳の頃は、変わらなかった。若い2人を、同じ部屋に残して、先に行った瑠璃光を恨めしく思った。

「風蘭を必ず守るんだ」

「僕なんかより、紫鳳の羽の方が、役に立つし、強い」

瑠璃光は、小さくため息をついて、首を傾げた。

「まだ、わかっていないんだな。どうして、お前の親が、そこに置いていったのか」

「え?なんて」

ずっと、瑠璃光にあって、親の事を聞きたいと思っていたが、なかなか、聞き出せないでいた。突然、瑠璃光から言われて、耳を疑った。

「僕の親の事。どうして?」

「見えたから」

瑠璃光は、青嵐の肩に優しく触れた。

「君の炎は、浄化の力がある。それは、自分で、得た力ではない。君の親が与えたものだ」

瑠璃光には、自分と似た境遇があるから、共感してもらっているのだろうか?それとも、本当に見えて、そう言っているのだろうか。

「いろいろ聞きたい事があるんです」

瑠璃光は、首を振った。

「まだ、時が来ないんだ。いつか、知る時が来る。でも、それは、今ではない」

「青嵐。まだ、風蘭には、治療が必要なんだ。君の炎で、治療してくれないか」

瑠璃光は、そして、耳元で、囁く。

「いいか。きっと、私の不在時に政変が起きる。風蘭の寝所が1番、安全だ。そのまま、そこにいるんだ。皇宮内も、外も危険になる」

瑠璃光は、成徳の起こす政変を見抜いていた。もはや、風蘭にこだわる事はないだろう。いずれ王座に、自分自身が座るつもりで、長い時間をかけて根回ししてきた筈だ。自分自身は、皇帝の座に魅力は感じない。だが、蛟の精を受けた成徳や、その類の者たちに、譲る気はない。

「青嵐。私達が、出た後は、寝所の四方を確認しろ。浄化していくんだ。どんな小さな物でも、見逃すな。蛟は、心の隙間に付け入る」

そして、青嵐に、紫鳳の羽を1本渡した。

「どうしても、助けが必要な時は、これを窓の外に飛ばすんだ」

青嵐は、頷いた。瑠璃光に言われた通りに、部屋の隅から隅まで、浄化した。怪しい物は、全て灰になって消えた。

「少し、休まれては?」

青嵐の額に、汗がじんわり、滲んでいる。長時間、集中するので、疲労が激しい。前回の浄化には、紗々姫がいたが、今回は、一人だ。皇宮の中で、風蘭を守れるのは、自分しかいない。

「あぁ。。そうだ。」

青嵐は、急に衣服を脱ぎ出した。

「え?何を?」

上着を脱ぐと、そばに掛けてあった、風蘭の皇帝の衣装を羽織り、髪を結い上げる。

「僕の衣装を着て」

風蘭に自分の衣装を着せ、顔には、側にあった鉢を割って、泥を顔に塗る。

「万が一に、備えて・・・だから、隠れていて」

青嵐は、風蘭を衣装の間に隠れるように促した。

「全てに用心しないと」

成徳は、用意周到である。きっと、この寝所にも、何か、あるかもしれない。青嵐は、扉に結界を張った。


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