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28話 幸せの構図

「う~~~、しんどいです……」


「お疲れ様でした、ネフィラ様。本日の王太子妃教育はここまでとなります」


「ありがとうございました……」


「ふふ、どういたしまして。それでは失礼いたしますね」


「はい」



 王太子妃教育を施してくれた教育係が私の部屋から出て行く。私は現在、宮殿内に居を構えていた。セシル様と婚約したからだ。日々の厳しい教育に早くもギブアップしそうになっていた。とまあ、それは冗談だけれど……。


 ただ、厳しいのは本音だったりする。婚約から結婚の期間を定めないとなっているけれど、私が本当にセシル様を支えることが出来るかは、今後の努力次第ということね。


「ネフィラ、入っても大丈夫か?」


「セシル様? はい、大丈夫ですよ」


「失礼する」



 セシル様が入って来る……まあ、今日は疲れているから座ったまま対応しても良いかな。と、考えていたのだけれど……。


「ははは、ネフィラよ。王太子妃教育は相当に手こずっているようだな?」


「じ、ジルカド国王陛下……!?」



 まさかの国王陛下の登場に私は疲れ切った表情を一変させて飛び上がった。セシル様はジルカド様の後ろで笑っている。やられたわ……。



「も、申し訳ございません! 私はなんてことを……!」


「いや、そんなに気にしないでくれ。義理の娘になるのだから、そんなに畏まる必要もないだろう。わっはっはっ」


「あ、いえ……まだ、修行中の身ですので……」



 私は国王陛下が現れた驚きで、まともに頭が思考していなかった。ジルカド様は全然気にしていない様子だけれど、とても恥ずかしいところを見られた気分だ。


「あの、ジルカド様。ご用件をお伺いしてもよろしいですか?」


「用件か……特にネフィラの様子を見に来ただけだが、まあ、ついでだから話しておくか」


「?」



 ジルカド様は軽く咳払いをして続ける。



「ハルベルト家の解体が進んでいるのだ。北の領主は一時的に居なくなるが、南のフォルブース家、西のカイザース家でなんとか支えてもらうことになった」


「そ、そうなんですね……解体……」


「ああ、解体だ」



 ハルベルト家は文字通り、解体される……それはつまり没落を意味していた。ハルベルト家についていた貴族や民衆も居るので、混乱を最小限にする為に、徐々ではあるけれど。まあ、こればかりは仕方ないわね。


 ちなみに、リードフ・ハルベルト公爵に関しては死刑になる見通しのようだ。スタイン様はまだ分からないけれど、お先は真っ暗でしょうね。


「あの……マーシオ様は罪に問われないのですか?」



 なんとなく気になったので聞いてみた。


「フォルブース家については、協力の意思がありとみなしている。今回の騒動についてのお咎めはなしだ」


「それなら安心です」



「ふふ、さてと……私としても非常に感謝している。セシルから既に言われていると思うが、改めてありがとうネフィラ」


「い、いえ……そんな……私はただ、セシル様に婚約破棄の件を相談しただけですので。こんなことになるなんて、思ってもいませんでしたから」



 ジルカド様に直接お礼を言われるのはとても緊張してしまうわ……なんせ、最高権力者だからね。


「ふふ、まあ感謝している事実さえ分かって貰えればいい。あとは……二人の子供を拝みたいものだな?」


「なっ……! 父上、まだ気が早いですよ!」


「はっはっはっはっ! そんなに声を荒げることでもないだろう?」


「こ、子供……」



 それってつまり、セシル様との子供ってことよね……? 跡継ぎ、将来の王様候補……? 嬉しさや恥ずかしさもあるけれど、私はそれ以上に使命感で押しつぶされそうになってしまった。



 王太子妃教育を無事に乗り越えて、必ず成果を出さないといけないわ!



「セシル様、よろしいですか?」


「ネフィラ、どうかしたか?」


「私、絶対にセシル様に相応しい人間になってみせますので! しっかりと見ていてくださいね! 頑張ります!」


「ネフィラ……ああ、もちろんだ。いつまでも見ているよ、君のことをな」



 わあ……歯の浮くような名文句が返って来たような気がする。近くで聞いていたジルカド様も口笛を鳴らす始末だ。でも、とても嬉しい言葉だった。


 お義父様との関係も現在は良好……もちろん、セシル様との仲はもっと良好だ。王太子妃教育は厳しいけれど、頑張れるだけの自信はあった。なぜなら……私の幸せの構図はもう目の前にある気がしたからだ。これで、我が子が生まれれば完璧なんでしょうね。



                                          おわり


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