12話 スタイン側の考え その1
スタイン・ハルベルト視点……。
「さて、スタイン。お前がやるべきことは分かっているな?」
「ち、父上……?」
セシル王太子殿下とネフィラとの会合が終わり屋敷に戻った後、私は父上に呼び出された。そこでいきなり聞かれているのだ。
「何のことでしょうか?」
「決まっている、マーシオ嬢との婚約のことだ」
「は、はい……そのことなのですが……」
会合の中では好感触とは間違っても言えなかっただろう。マーシオやカルカロフ公爵も臆していたようだしな。父上は強気だったが、私はそこまで強気にはなれなかった。
「多少、強引にでも縁を結んでしまえば良い」
「ご、強引にでございますか……?」
父上はさも当然のように頷いていた。まったく躊躇う様子を見せていない。
「王家を敵に回すのは避けたいところだが、北と南を管轄する最大勢力が完成するのだからな。貴族側にとって、これほど大きなメリットはあまりないだろう」
「し、しかし……セシル王太子殿下は拒否するような印象でしたが、どうなのでしょうか?」
「王太子殿下に直接的な権限はないさ。最終的には国王陛下が判断するのだからな。もちろん、国王陛下だけの裁量で決められるわけでもない」
「それは……」
このことから察するに、父上は国王陛下に逆らおうとしているのか? いや、表立って逆らってはいくら公爵家と言えどもただでは済まないはずだ。そんなことを父上が知らないわけがない。あの会合を終えても、ここまでの強気な発言が出て来るということは……。
やはり、そういうことなのか……。私もその考えに至っていなかったわけではないが。
「私が何を言いたいか、お前なら分かるのではないか? スタイン」
「議会を味方に付けている……そういうことですよね?」
父上は何も言わなかったが、その表情が全てを物語っているようだった。正確には議会そのものよりも、それに通じている貴族達のことを差しているのだろう。私は少し怖くなってしまった……父上は何を考えているのだ……?




