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10話 会合 その4

 北の国境線を含めた広大な大地を管轄している、リードフ・ハルベルト公爵を相手に全く臆せずに物事を伝えるセシル様……私はその姿にトキメキを覚えてしまった。不謹慎ではあるけれどね……。



 そのくらい、セシル様に頼もしさを感じたのは間違っていないと思う。



「セシル王太子殿下……随分と大きな言い回しですね。よろしいのですか? そんなことを言ってしまって……」


「どういう意味だ、リードフ殿。私が何か間違っているというのか?」


「いえ……そういう意味ではありませんが……」


「では、何が言いたいのだ?」



 完全にセシル様が勝っている状況と言えるだろうか……リードフ様は表情こそ変えていないけれど、明らかに言葉数が少なくなっている。まあ、こちらが正論なのだから、当然なんだけれどね。



「まったく……カルカロフ殿やマーシオ嬢とは随分と態度が違うのだな。同じ公爵家でも、ここまで考え方が違うとは、やはり二人の家系の結び付きを強化させるのは考えなければなるまい」


「……それは!」



 先程までは比較的冷静だったリードフ様だけれど、セシル様のその言葉には強く反応していた。



「私の息子であるスタインと、マーシオ嬢との婚約を認めないと言うことですかな……?」


「認めるか、認めないかについては、私が決められることではないからな。個人的には認めたくはないが……」


「……」



 皮肉を込めているのか、セシル様の言葉はリードフ様に深く突き刺さったようだ。彼は眉間にしわを寄せていたから。そんな様子をカルカロフ様とマーシオ様は、焦った様子で眺めているようだった。やっぱりこの二人は、リードフ様やスタイン様とは、考え方が違うみたいね。


 そう言えば、ジルカド国王陛下も私とマーシオ様は友人になれるかもとおっしゃっていたっけ。今にして思うと、何となく分かる気がしてしまう。


「セシル王太子殿下……そのような発言をされても大丈夫なのですか?」


「どういうことだ、リードフ殿?」


「いえ……セシル王太子殿下は次の国王陛下に内定されていらっしゃる。ですが、私達を敵に回すのはあまり良い選択肢だとは思えませんが?」


「リードフ殿……」



 ここに来てもまだ、リードフ様は強気な発言を崩さなかった。スタイン様も同じ立場なのかもしれない。あくまでも、北の広大な大地を管轄している大貴族という立場でセシル様に歯向かっているのだろうか。完全に自分達が王家の配下であることを忘れている口調にも見える。


「ネフィラ嬢への慰謝料に関しては、多めに支払うことを約束致します。しかし、スタインとマーシオ嬢の婚約にまで口を挟まれるようでしたら……その時は少し、立場が変わるかもしれませんな?」


 リードフ様は本当に強気だ……そもそも、私への慰謝料の支払いは当然の義務みたいなものなんだけれど。まあ、それは置いておくとしても、セシル様はどのように返すのかしら? その一点に私は注視していた。


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