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勇者科でたての40代は使えない 【ファーストシーズン完結】  作者: 重土 浄
第十話 目白駅 「おじさん、大量の若者たちと共闘する」
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 「尾地、あなたが私とシンウの仲なお…」


 「お断りします」


 コンクリの丘を歩く二人は、まだセイカとシンウの関係について話していた。


 「なんでよ!いいじゃない、二人の共通の知人としてあなたが行える最高の仕事よ」


 「お断りです。若い子のつたない言葉を伝えて回る伝書鳩の役などまっぴらでございますよ」


 「冷たいわねー。大人としての責務をまっとうしなさいよ」


 「大人だからですよ。青い人たちがお互いに一言あやまれば済む話に、わざわざ関わるなんて嫌です」


 「一言言って上手くいかなかったらどうするのよ!シンウに嫌われたら…」


 「今だって好かれてるとは限らないでしょう」


 セイカの蹴りが入った。


 「いったいなぁ。シンウさんは良い方ですよ。ご一緒させていただいたから知っています。あの人は中年を蹴るような方ではなかった…」


 尾地はわざとらしく不平を言う。


 「あんた、あの子のこと変な目で見たんじゃないでしょうね」


 「見ませんよ。私は派遣のプロですから。誰に対しても平等に接しますよ。扱いにくいお嬢様でもね」


 「あ、そうだ。オジ、あんたがシンウに迫るの!セクハラ中年みたいに。それを私が退治して、私がシンウとラブラブになるという作戦、どう?」


 「どう?って真面目に聞いてるのが恐ろしいですね」


 「どう?」


 「却下です。シンウさんに嫌われたくありませんし、そんなことしたら派遣の仕事ができなくなります」


 「ダメかー!あ~~シンウのことで頭が一杯で仕事にならない~!」


 「やっぱりダメじゃないですか!」




 「というわけで相手のパーティーと合意してきた。先手必勝だ!みんなの目と手の速さに期待してるわよ!」


 センシンセイカのパーティーメンバー六名が集められ、リーダーが競合相手との合意の報告をしている。セイカは先程のヘニャヘニャの状態から見事にリーダーの凛々しい姿に戻っていた。


 「そして最後は…」


 彼女が背中の弓を取り出し


 「私の弓が勝負を決める!」


 パーティーメンバーが雄叫びを上げる。全員がセイカの弓の腕前を知っていて確信している、彼女の弓が我々の勝利を呼び込むと。


 全員がモンスターの出現予想エリア内に散らばっていく。担当エリア、休憩交代の時間、全て事前に決定済みだ。


 中央の陣にセイカがいる。どこにモンスターが発生しても、彼女は弓が届く位置にいち早く移動できる。


 彼女は双眼鏡で四方をチェックしている。


 「あ~~向こうのパーティーのメンバーも散らばってる…あ~うちの子と睨み合ってるな~」


 ホリーチェ側、おそらくジンクが縄張り意識を出しているのだろうと、隣にいる尾地は思った。


 「あんまり気張っていますと、いざって時、反応が遅れますから程々にしてたほうがいいと、メンバーに言ったほうがいいですよ」


 「短期決戦か、長期決戦かわからないから…。交代のルーティンも今は短期戦ルーティンにしてるし」


 セイカとしても悩みどころだ。五〇日間隔のポップとはいえ、前後合わせて三日くらいは期間に揺れがある。有限である緊張感をいかにマネージメントするか、リーダーとしても悩むところだ。


 「やっぱり、奪い合いがなければな~もっと楽なのになー」


 セイカは素の言葉で本音を言った。





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