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効は奏して、瞬く間に、ティアモラ王室最大の醜聞は、大陸中に広められた。
各国派遣の大使たちは対応に追われたが、本国へあおいだ指示に返答は届けられない。
この情報が蔓延するのと同時進行で、イブリール軍によるヴァストォール包囲網が敷かれたからだ。
これによって、歴史と伝統を誇る都は、完全な陸の孤島となり、籠城以外の全ての策が封じ込められてしまった。
周辺諸国の反応は冷静なもので、セルアの充分な根回しの甲斐あって、この期に及んで、静観の構えを解いていない。
表向きの事実において、ティアモラ側は完全な被害者のはずながら、イブリールより提示された数多くの証拠は、それらに疑問を投げかけるものばかりだったからである。
何より、君主たるバルモア三世の破戒に、各国君主たちは明確な嫌悪を示した。
一部地域、あるいは大陸全土で、神の教義が緩んだ時代は、これまでにも幾らも例がある。
事実、現状の君主たちの間でも、秘密の愛人を抱えている者がいない訳でなかった。
しかし、それを公にするような思慮のない振る舞いは断固として避けている。
わずか二百年前に事実上の滅亡に至ったラジアナ王国瓦解の真因の一つが、王の不品行によるものだったとの暗黙の了解があるからだ。
彼らの間でひそかに語り継がれている闇の歴史であるために、一層、王たちは反面教師とし、自戒を忘れない。
その教訓を意にも介さず軽はずみな過ちを犯した王を頂く国との関わりを避けたく思うのは当然だろう。
つまり、ティアモラは、外交工作を駆使して援軍を期待できない状況に追い込まれたのである。
正に四面楚歌に追い込められたティアモラだが、現状打破のために尽力する人々も当然いる。
その急先鋒が、エテルティア付きの騎士ラーダだった。
ただ、このところ主君より距離を置かれているため、直接の進言がかなわずにいる。
それでも彼は実に高度な献策を幾度となく奏上しているのだが、その大部分が王女の取り巻きたちに握り潰されてしまった。
これ以上、一介の騎士風情がのさばるのを、彼らは許さなかったのだ。
そして、それぞれ、ライバルとなり得る者たちの言動も厳しく監視し合い、抜け駆けを食い止めようと尽力する。
当然の結果、悪循環に陥るティアモラだった。




