第8話 幼馴染のコタツ
コタツに入ってボーっとテレビを見る。
この時間何にも面白い番組ないなぁ。
適当にチャンネルを回す。
番組表は見ない主義なんでな。
結局何にもいい番組が見つからず、電源を切ろうとすると、
横から手が伸びてきてリモコンを奪われた。
流季だ。
ちなみにコタツの席は俺がテレビの真正面、流季はその右隣の席だ。
なんか見たいやつでもあったのだろうか。
流季はすぐさま番組表にする。
あぁ、番組表が見たかっただけか。
ドラマのスペシャルを録画してリモコンを返された。
あぁ、あれ今日だったのか。
戻ってきたリモコンで電源を切る。
ふー、暇だな。
一度大きく背伸びをしてからコタツに軽く潜る。
眠るわけでもなく、そのままだらーっとしていると
「しりとり」
急にお声がかかった。
「り……料理」
「りんご」
「ゴリラ」
「ランドセル」
「る、る……るぅ」
「それあり?」
「カレーとかのやつ」
とっさに思いついた。
「はいはい。え〜と、ルウだから、う?」
「うん」
「あ、負け」
「俺の番じゃない」
「知ってる。う、うさぎ」
「キーマカレー」
「うさぎを料理しないで!」
料理したつもりはない。
「れ、れ、レモ…レモネード!」
「どら焼き」
「キーマカレー食べたい」
「……それってあり?」
「お母さんに言ってくる」
ガチのやつか。
本当に行ってしまった流季に1人残された俺。
……寝るか。
少し目を瞑っているとだんだん眠くなってくる。
※※※
「材料ないからダメだって……あれ?寝てる」
私もコタツに入って寝ることにしよう。
結局しりとりはどうなったんだっけ?
まぁいいや。
おやすなさい。
※※※
「熱い」
目が覚めた。
コタツで寝てたらよくあることだ。
「水、水……」
コタツから抜け出そうとすると、違和感があった。
横を見ると流季の顔があった。
こいつ、なんで同じ面に入ってるんだ?
狭いのに。
あれか。
深く潜ってたらどこから入ったか分からなくなって、ここから出てきたのか。
上手く抜け出せない。
「るぅ、るぅ」
「むにゃ」
ダメだ。揺さぶっても起きない。
仕方なく一旦コタツの中に潜ってから別の面から出ることにする。
ぐぅ、狭い。
なんとか下がることには成功する。
熱い、早く出よう。
急いで向きを変えてコタツから出る。
「水…水……」
水道水を汲んで飲む。
ぷはぁ……寒い時でもこういう時の冷えた水は美味い。
手を洗う時はひたすら冷たいだけなのに。
しばらくコタツから出ていると、流季が起き出した。
「んあぁ、熱い」
水を差し出す。
「わぁい」
「寝たまま飲むな」
「やっ」
「ダメだ」
仕方なくのそのそと起き上がってコップを受け取る流季。
「ぷはぁ」
「そういえば、キーマカレーダメだって」
「あぁ、そんな話してたな」
今日も平和だ。