プロローグ1
初めて執筆しました。
見切り発車な感じなので、修正を加えていくかもしれません。
2018年12月2日改稿
目を開けると飛び込んできた光景は、見渡す限り何も無い真っ白な空間......ではなく、
分厚い唇だった。
「うわーっ!!」
俺は反射的に目の前の物体を突き飛ばした。
「あらぁ?目覚めのキッスをしに来たのに、もう起きちゃったのぉ?残念。」
突き飛ばされた者は、尻餅をつきながら、物凄く残念そうに言い放った。
声の主は、青髭にガチムチな筋肉と一見すると脳筋のような見た目
だが、ただ一つ違うのは、筋肉に纏っている衣服だった。
今にも中が見えてしまいそうなほど丈の短いスカートに、胸元を強調するかの様に広げられた白いオープンカラーシャツだった。
「まぁ~!そんなに驚いちゃってぇ。さてはあたしの色気にクラクラしちゃったかしらぁ?」
どうやら化け物の巣穴に放り込まれたようです。出口はどこですか?
俺はそっと現実から逃れようとした。
「化け物じゃないわよぉ!!まぁいいわ。それで?どこまで覚えてるのかしら?」
現実逃避をしていたいところだが、自分の記憶を呼び起こす。
もちろん、得体の知れない化け物とは一定以上の距離を開けている。
「俺は...死んだはず...」
「思い出したかしらぁ?」
横から化け物が口を挟んでくる。
「確かに死んだ。ここは、死後の世界?ははっ...だとしたら、地獄かな。」
自分が死んだ実感がある以上、ここが死後の世界だと考えるのが自然だろう。
ただ、目の前の化け物を見た以上天国では無く、地獄だという結論に至る。
生前の行いは悪くなかったはずだが。
「惜しいわねぇ!ここは神界よぉ。それであたしは化け物じゃなくて、一番偉い神様!キャサリンちゃんって呼んで頂戴!よろしくねぇ?尾先稲荷くん♪」
「俄には信じられないけど、さっきから考えを読まれてるみたいだし、事実なんだろう...本当に地獄の門の番人とかじゃないの?」
「地獄の番人じゃなくて、キャサリンちゃん!!」
呼び方について譲る気は無いようだが、化け物以外に呼ぶ気はない。
「まぁいいや。神だとして、なぜ俺はここに居るの?」
このままでは話が進まないと判断し、とりあえず話に乗っかることにした。
「結論から言うと、あなたをここへ呼んだのは、異世界に行ってもらおうと思ってるのよぉ。」
化け物はウインクをしながら言い放った。
ウインクを直視してしまった俺は死ぬかも知れない。
あぁ、もう死んでたわ。
「異世界に行けって?なんのために?」
いきなり異世界と言われても納得できない。
「本当は手順通りに輪廻に乗せて、元の世界で転生してもらうんだけどぉ、実はあなたの死は手違いだったのよぉ。」
言い分を纏めるとこうなる。
・新人の神を研修していたところ、教育係が目を離した隙に新人の神が別の人間と間違ってしまった。
・無かったことにしたいが、俺の元居た世界では一度死んでしまった人間を甦らすことはできない。
・それならば、謝った上で別の世界に行ってもらおう。
・それに、キャサリンが年頃の男とお近づきになりたかった。
と、いうわけであった。
「最後については願望丸出しだよ!!」
俺は、人生で初めて自分の肩を抱き締めて身震いした。
「新人研修担当の子はしっかりと罰を与えておくからぁ、なんならここであたしの眷属として暮らしても良いわよぉ?」
俺の尻に手を伸ばそうと近寄る化け物から再度距離をとる。
おい、頼むから体をくねらせるのはやめてくれ。
「ここで暮らすのは気持ち悪いから却下!!とりあえず、新しい世界の情報が欲しいな?」
まだ体をクネクネさせているキャサリンを無視しながら、質問する。
「稲荷ちゃんに行ってもらう世界は、一言で言えばファンタジーよぉ!元の世界とは違って、魔法があったり魔物が居たりって感じね。それと慣れない世界ですぐに死んじゃったら、転移してもらう意味がないじゃない?だから、あたしからの愛をあげちゃうわね!」
またもや、化け物のウインクを...(ry
「それじゃあ、早速恩恵を決めていくわよぉ!」
化け物からの攻撃により、放心していた俺へと腕捲りをしながら化け物は告げた。
プロローグもう1話続きます。