ギルドに向かう事に
タダで手に入るかもしれない、それはどういう意味なのかと思っているとニャコが早速見に行きましょうと言ってから、
「そういえば、ご主人様は……」
「名前呼びでいい。これからいろいろとお願いするだろうし」
「……良識的すぎて気持ち悪い。これは私もがんばらねば。それで、ギルドカードはもっていますか?」
「持っていないな」
「それなのによく、妙な魔法ですが使えますね。あそこで能力測定してもらっていないのに分かるなんて」
首をかしげるニャコに、“ステータス・オープン”しました、等というべきか言わないべきか考えたが、ただでさえ常識だと俺が思っていることを告げたら『気持ち悪い』と言われてしまうので、黙っておくことにした。
ただでさえニャコの能力は俺にとって必要不可欠なので、今は逃がしたくない。
だから今は黙っておくとして、
「この能力だけは分かったんだが、それ以外はよく分からないんだ」
「……ご……コウジにも事情がありそうですね。それならば聞きません。私は食事と住む所とちょっとのおこずかいが欲しいのです」
「要求がさりげに一つ増えた気がしたんだが」
「いえ、そろそろお洋服とかその……欲しくて。着替えもあまりない状態でしたので」
「あ……なるほど。だったらギルドで俺が測定している間に買ってくるか? いくらくらい必要なんだ?」
「い、一万円」
「分かった。ほら」
そう言ってそれくらいのお金かなと思う物を渡すと、ニャコが沈黙してから、
「多すぎですよ、コウジ」
「そうなのか?」
「そうです。仕方がないので待っていますから、後で一緒に洋服を見てください。私が獣人なのもありますし、適正な価格を確認してください」
と、呆れたように言われてしまったのだった。