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会話

 こうして食事を終えた俺だが、次にしたことはというと、織江たちが食べ終わるのを待つことだった。

 現在食べ終わるのを待ってから、“時織の石”を使用してこの接続装置を作る予定だったのだ。

 先に貰っていてもよかったが、久しぶりの再会なので雑談をしながら食べるのが楽しかったので、後回しにしたのだ。


 ただ、これまでの出来事で、途中途中に全滅させられた村があった話や騙されて殺されそうになった話など、過酷な話も多々聞いた。

 どう考えても、力の使い方も分からず気づかなかった俺は初めの方で死んでいたように思う。

 そう考えるとこうやって今手助けできているのだから彼らが俺をこの場所に置いてきたのは正解だったかもしれない。


 俺がそう答えると織江が、


「確かに無駄死にだね。浩二の回復薬が無いと私も死んでいたし。でもこんな状況にならなかったら、畑でも作っていたのかな? 浩二は」

「そんなスローライフでも楽しんでみるかと思ったらこんな状況だからな。必死になって土下座したりして、お金だけは貰ったから何とかなったな」

「酷い話だけれど、今はそこにいる人達と一緒にがんばっているんだね」

「そうだな。彼女達のおかげで何とかなっているよ。ベッドはとられたから隣のベッドで俺は寝ているけれどな」


 冗談めかして、最近とられてしまった寝心地の良いベッドについて話すと、何故かそこで織江が沈黙した。

 あれ、と俺が思っていると、


「……浩二、女の子と一緒の部屋で寝ているの?」

「え、えっと、そうなりますが、はい」

「どうして?」

「最近市が開かれた関係で、宿が塞がっていて泊まる所がないといった理由です、はい」

「……それだけ?」

「は、はい」

「本当にそれだけ?」

「はい!」


 やけに織江の声が冷たい気がするが、俺はそう答えた。

 以前一度三人にベッドに引きずり込まれたことがあるが、それは話してはならないような気がした。

 俺だって空気は読むのだ!


 そしてしばらくの沈黙の後、織江が、


「うん、そんな理由だと思っていたよ。浩二はそんな人じゃないと思っていたし」

「う、うん」

「他にはないよね」


 念を押された俺は、更に頷くとそこで、


「織江~、ほどほどにしておきなよ」

「わ、分かっているわよ、瞳」

「……何だか織江を見ていると、彼氏の家にいったら女の気配があるか確認しそう」

「そ、そんなことないもん。彼氏の事は私だって信じるよ」

「……それはそうとして、織江、もう鍋は食べないの? こっちにチーズをのせて焼いたパンがあるけれど、これをつけて食べたらおいしいけれど」

「! 食べる」


 織江がそう言って瞳に呼ばれてそちらに向かったようだ。

 危険なフラグが立ちそうな気もしたが、どうやら大丈夫だったようだと俺が思っているとそこで、


「俺はもうほとんど食べ終わったから、先に“時織の石”を渡しておこう。これがあればもっと大きな接続装置が出来るのか?」

「おそらくは。他の材料がそろっていればすぐにでも作れるはず」

「分かった、用意する」


 そう話を聞きながらそこで俺は、


「それで魔王の城まではどれくらいなんだ?」

「今日中につくんじゃないか?」

「! そんなに。でも魔王の副官相手にてこずっていたみたいだが、どうなんだ」

「実は四天王も含めて今は丁度出払っているらしい。全員、何処かこうかに攻め言っているから今のうちにその魔王を倒す。なんでも魔王の力の影響をあの四天王も含めて部下たち全員が受けているらしいからな。その元を倒せばいい状態だ」

「それでもし、倒せなかったならどうするんだ?」


 もしもの事を考えて俺が問いかけると正人が、


「魔王が倒せなければ、“封印”を行うことになる」

「どうやるんだ?」

「この道具“封印石の矢じり”と呼ばれるものだが、これを使うそうだ。途中で手に入れた物だがこれを使うらしい。ただ古い時代に使っていたものだから、強くなり続けているらしい魔王にどの程度効果はあるのか分からない」

「強くなり続けている?」

「そうらしい。現に魔族も以前よりも凶悪で、だから異世界召喚者が一人ではなく複数人になっているそうだ」

「? 異世界人は強いのか? この世界の人間より」

「上位世界から呼び寄せるから、この世界では力が一部変質し、その人間に合った特殊能力チートを発現するらしい。だから能力には当たりはずれがあるようだ」

「なるほど、そのあたりの説明も全然はなかったな」

「俺の方も全然なかった」

「……一応こっちでもそれよりも強力な封印が出来る道具が出来ないか探ってみるよ」

「よろしく。いざとなったら使えないとなっても困るからな」


 といった話をしつつそうなってくると残りは、


「元の世界の戻る方法も早めに探さないとな。そういえばアリア、その異世界から呼ばれた人物は元の世界に戻れたのか?」

「戻ってこの世界と行き来していたわ、ただ、その方法は古い話だから実家に行って調べないと分からないけれど」

「そのうちその資料を見せてもらってもいいか?」

「構わないわ。これだけいい武器を貰えたのだもの、お釣りを渡さないといけないくらいよ」


 こうして元に戻る手立てのヒントは俺達は手に入れた。

 そこで、俺達の方に向かって、丸められた布袋が放り出された。

 すぐに確認すると大きな“時織の石”が入っていて、


「早速作ってみるから、接続を切るぞ」

「分かった」


 正人の声を聞きながら俺は、接続を解除したのだった。



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