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勇者の剣

 まずは、先ほどの遠距離通信の接続を切った俺は、代わりに縮小して運べる袋について調べ始めた。

 俺が現在作って持っている袋はあのボストンバッグだが、それよりも小さいものが必要だ。

 小さい物の方が材料も少なく、一見楽そうに見えるが……小型化は、別な意味で高度な技術が必要になる場合もある。


 必要な材料が足りなくならなければいいが、それとも特別な材料が必要になるのだろうか?

 そう俺が不安を覚えながら検索していく。

 必要な材料は、


「“トトの草”“水花の石”“モノの糊”……他は以前見つけたものであったな」

「“水花の石”は別名のものがすでにこの前かった貴重な鉱石の一つでありますよ。それを使えば完璧です」

「他の材料は?」

「購入しないといけませんがまだ市が開いています。そこで買ってくればいいでしょう」

「なるほど……。他に必要な物……これ、どれくらいのものが入るんだろうな?」


 そう思ってよくよく説明を読んでいくと、小型化している分この袋に入る物は、俺のボストンバックよりも少ないらしい。

 それでも、十分に沢山のものが入る。

 そう考えると、一度その袋を作ってから、一緒に何か送った方がいいかもしれない。


「どうせ送るなら他にも色々送りたいな。武器の類と防御の類、治療に使える回復薬、後は……食べ物か」

「食べ物というと、丁度この前、鍋に料理を入れた状態で販売しているのがありました。あのまま火にかけて食べるタイプのもので美味しそうでしたよ」


 ニャコが目ざとく料理関係を見ていたらしい。


「じゃあそれも買って送ろう、後はパンなんかもいいな。よし、武器の類は杖はフラウと同じようなものでいいから、残りは剣に……」


 そうしてそこで俺は更に武器を検索して探していく。

 元々城を出される時の、織江たちの装備は大まかに覚えていたので、それよりも強力そうな武器を探していく。

 そちらの方は全て手持ちの材料でどうにかなりそうだった。


 だから先ほどの足りない材料と、料理などを購入しに市に出る。

 幸いにも近くのダンジョンで魔王軍の副官が現れたらしいといった話は出ているが俺達の事は噂になっていない。

 けれどそれも時間の問題だろうから移動を開始した方がいいだろう、そう思いながら購入する品を探す。


 途中飴玉を売っているお店にも遭遇し、幾らか贈り物としての分も兼ねて購入した。

 そして鍋ごと売っている料理……そこは鍋の販売も兼ねているらしく、そこそこの値段がしたが、丸ごと購入してお皿などもついでに手に入れる。

 新鮮な野菜や肉などが楽しめる一品だ。


 他にもパンなどを購入して大体の準備が出来た所でアリアがぽつりと俺に言う。

 

「……私達に目的があるって、話したわよね」

「それは聞いた気がするが、それがどうかしたのか?」

「コウジは勇者の剣って作れるかしら。私達のご先祖様のパーティ、その勇者が使っていた剣なのだけれど」

「後で調べてみる。それをどうする気だったんだ?」

「いざとなったらそれを勇者達やこの世界の強い者達に渡す、それが私の使命ではあったのだけれど……コウジの力を見ていると、遥か昔から知られているその剣よりももっと強力な武器が手に入りそうだと思ったの」


 アリアのその言葉に俺は少し黙って考えてから頷く。


「分かった、折角だから探してみる。その剣の名前を調べて……作れそうだったら、正人に贈る分も含めて何本か作れないか見てみるよ。材料次第になってしまうが」

「それでいいわ。これで保管してある場所にまで行かなくて済むわね。その人達が簡単に渡してくれるとは限らないし」

「? 事前に話し合いがあったわけではないのか?」

「ええ、交渉して、お金で手に入らなければ、私達で“強奪”する予定だったから」

「……そうなのか」

「ええ。強力なその剣があれば、それを持ってさえすれば自分達は助かると思っている輩からその剣を奪わないといけなかったけれど、コウジの力があればそれをしなくて済むわ」

「そうか、よかったな」

「ええ、大きな借りになるわ。その分、私も全力でコウジのお手伝いをするわ。フラウもそうでしょう?」


 そこでアリアがフラウに話を振るとフラウは頷いて、


「私もその方が、無駄な争いも血を流すことも無くて、いいです。その借りは、私も、体で返します」

「……ありがとう」


 とりあえず俺はお礼を言っておくことにした。

 ただ、体で返すという表現は俺としてはちょっと思う所もあったが、何も聞かなかったことにする。

 そしてそれから必要なものを一通りと、携帯式のコンロのような魔法の道具(安価)を購入して部屋で鍋をすることに。


 こうして俺達は宿に戻り、準備と、アリアの言う勇者の剣の検索を開始したのだった。


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