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か細い声と回復薬

 まだこの近くに織江がいるかもしれない。

 そう思って俺は、名前を呼ぶ。

 

「織江、織江、聞こえるか! 返事をしてくれ!」


 先ほどの爆音も含めて不安しか俺には感じられない。

 大丈夫だろうか? そう思いながら俺が叫ぶと、


「……コウジの声がする。気のせいかな?」


 かすれるような、今にも消えてしまいそうな声。

 それが響いて、俺は、


「織江!」

「……幻聴かな? ……最期に聞けたのが、コウジの声なら、それで、いいか」


 息も絶え絶えといったような声に俺は背筋に寒気が走る。

 まさかと思って、


「織江、幻聴じゃない! というかここの真下から聞こえてきているのか!?」

「はは……私ね、今ね……負傷しちゃって……」


 その言葉を聞きながら、俺の悪い予感が当たったと気付く。

 負傷ってどの程度だ?

 でも怪我をしているようだが、まだ会話は出来る。

 

 つまり生きているようだ。

 生きていればまだ何とかなる。

 そこで更にか細い声が消え入りそうになりながら、


「でも、伝えたいことが……私、ね……こうじの……こ……と……」


 か細い声が聞こえた俺は、この空間の先、その真下辺りに織江がいるのは確実だと分かった。

 声のした方が下の方だったから。

 だからそのか細い言葉が何かを言う前に、俺はその場にあったバックに手を伸ばし、


「待って居ろ、すぐだから」

「す……ぐ?」

「あった、これだ。これくらいの大きさなら大丈夫だ」


 俺は先ほど作った強力な回復薬の瓶を開けて、その繋がった小さな穴に突っ込み傾けただのだった。


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