何を話せばいいんだ
黒いコードのようなもののついた、四角い箱。
この箱自体は立方体で、一辺が三センチ程度の大きさだ。
随分と小さいなと思って説明をスマホで確認すると、
「……“時織の石”の性質と大きさで、この大の大きさが変わるのか。それで、この台の一辺の長さと同じ正方形の形に、その別の空間が繋がると」
それを読んだ時俺は、まだほとんど連絡しかできないと悟った。
後は送れるとしたらちょっとした小物か、
「あの回復薬であれば、一本くらいなら送れそうだ」
この小さい中でもあれなら送れる。
その効果は、すでに先ほどの件で証明済みだ。
それからさらに読んでいって、
「えっとこの黒いコードの先の部分を充電する所に差し込んで……メールアドレスや電話番号など、相手と関連する物との接点から空間の接続を確認し……触れている術者の魔力を媒介に空間を……その魔力量の数値計算はこちら」
読んでいくと今回作った道具でどれくらい空間を繋げてられるのかが分かる計測プログラムのようなものが表示されている。
それを見ながら本当に特殊能力だな、と思いながら触れると、現在の魔力容量では、256987588時間、と表示された。
凄い数だなと思いながらも、これは本当の魔力量の方の計算なのかと思ったが、とりあえずそれだけつながるなら何の問題も無いと俺は思う。
「後は、繋いで話すだけだ。話すだけ……何を話せばいいんだ」
俺は真剣に悩んだ。
だが思いつかない。
そこでニャコが、
「まあまあ、まずは連絡してみましょう。そうすれば自然と話すことも見つかりますよ」
というので俺は、思い切って接続したのだった。