四角い道具
こうして必要な材料と、取り出した“時織の石”を使う事に。
小さな石でもあれだけの強力な回復薬が作れたのだ。
「空間を繋いで何かを届けられて……できれば俺も、戦闘の手伝いが出来れ場と思っている。魔道具は強力なものが多いから、それを使えば……」
一つ出来ればと思うと、もっとできることを求めてしまう。
欲張りになってしまうが、能力がないと言われて一人置いて行かれて、しかも約束は守られなかったこの状態だから、あの時ついていった方が良かっただろうかともふと考えてしまう。
俺の中にあった迷いがそう言わせたのかもしれない。
とそこで手を挙げたニャコが、
「でもどうやって相手のいる場所を見つけて繋げるのでしょうか?」
「……説明を読む。……どうやらこのスマホに登録されている相手のアドレスに向かって接続するらしい」
「その四角い道具ですか。それはどんな道具なのですか?」
「本来であれば……そうだな、遠くの人と連絡を取ったり、映像を送ったり、調べものをしたり、他にも色々出来る道具だ」
「つ、つまり万能の通信機器……そんなものが」
「でもこの世界では使えないと思う。電波を拾ったりもできないし」
「……よく分かりませんが、この世界とコウジの世界はかなり違うようですね」
とニャコが感慨深げに言っている。
そしてそこまで話してからようやく俺は、
「さて、そろそろつなぐ道具を作ってみる」
と言って、材料に向かってスマホを構える。
上手くいきますように、そう願いながら出来上がったそれは、コードのようなものがついた四角い小さな箱だった。