本当の事を話すことにした
こうして延々と回復薬を作ってはバッグに放り込んでいた俺。
それをしばらくしてから、
「これだけあれば当分は大丈夫だろう。次にもう少し能力の低い回復薬をと。この材料、ニャコは分かるか?」
「あ、これ、この前購入した鉱石で十分に作れます」
と言われて俺は、その回復薬を作り上げる装置をすぐに作ってみる。
それは先ほどの元の同じような四角い箱だが、材料の関係か、箱の色が銅の色をしている。
その箱を眺めながら俺は、とりあえず一つ作ってみて様子を見ると、品質はそこそこいいようだった。
「よし、これで回復薬のめどは立ったな」
「はい、後は、コウジの“仲間”に連絡できるよう、その先に作ったあの装置をバラすだけです」
「そうだな」
そう答えて俺は、一番初めの銀色の箱状の回復薬作成装置に手を出す。
箱の表面はつるつるしているが、縦に一つ筋が出来ている。
そこに爪を入れてぐっと押すと蓋が外れた。
中には黒く、白い色で複雑な回路のような図形があり、その中央に“時織の石”が鎮座している。
ニャコが、
「凄いです、私でもここまで緻密なものは見たことがありません」
「そうなのか。でもこれなら外せそうだな」
俺はそう呟き石を取り出す。
これで、回収は終了した。
後はこれで連絡道具を作るだけだが……そこで俺は考える。
もしも連絡したなら、異世界人だと俺は気づかれてしまう。
席をはずしてもらう、といった方法も考えられはするけれど……。
信じてもいいのではないか?
このニャコやアリア、フラウには話してもいいのではないか?
一緒に居た時間は短いけれど悪い人間ではなさそうだった。
俺は少し考えてからそして、三人に本当の事を話すことにしたのだった。