一番最低ランク
実は俺には莫大な量の魔力があったらしい。
だがあの“ステータス・オープン”をした時は、ギルドの物と同じ表示だったのだ。
どうしてだろうか? 読み落としがあるかもしれないので、後で確認しておこうと思う。
何しろ自分だけが役に立たない特殊能力だったので、あまり詳しく見ていなかった気がするのだ。
それを思い出しながら俺は、測定数値を見つつ頷く。
「これだけの力があれば、延々と回復薬が作れるな」
「コウジは気にする所はそこなのですか。……まあいいですけれど、よし、まずは沢山作りましょう。そうしたらその魔道具をバラすのですね?」
「そうなるな。“時織の石”は小さいものが一つしかないから。それを使わないといけないから」
俺がそう答えるとそこでニャコが、
「でもあの“時織の石”はそこまで純度が良くなくて、小さいものでした。それが装置にはどの程度影響しているのでしょう? この回復薬は確かに強力でしたが」
「だったらこの回復薬について調べてみるか」
あの意思はあまりいいものではない、とニャコは言う。
だが現にかなり強力な回復薬が作られている。
だからどんなものか見てみると、
「……最低ランク、☆一つの回復薬って書いてあるな。全部で星が十個あって十段階らしい」
「……あの強力な効果で一番最低ランク……伝説の薬と言われるだけありますね。ではその薬をたくさん作ってからバラしましょう。そして中の内部構造を見るのです」
ニャコが楽しそうに言いだして、仕方がないなと思いながら俺は回復剤を次々作っていく。
そんな俺達を、アリアとフラウが探るように見ていたのだった。