黒い算段
こうしてその日は夕食を食べて部屋を二人部屋に変更して泊まる。
ただ二人部屋と言っても、大きなサイズのベッドが一つしかなく、
「今日はご主人様と一緒のベッドですね~」
などとニャコが楽しそうに言うが、俺はしばし考えて、
「ニャコが右端、俺が左端でいいな」
「……それ以外は?」
「寝る?」
「い、一つのベッドに男女が寝るわけで……」
「だから間違いがないように両端に」
と俺が答えると、ニャコは何とも言えない顔で俺を見た。
次にニャコはため息をついて、
「ご主人様は変な方です。かなり良識的過ぎて気持ちが悪いです」
「……気持ちが悪い……ちなみに俺が襲い掛かったらどうする気だったんだ?」
「猫パンチで、一発で気絶させて身ぐるみはぎます」
「寄生した上に追いはぎまでする凶悪な女の子だったなんて。これは追い出すしかないな」
「にゃ~、それは勘弁を~、冗談ですよ~」
といった話をして俺はベッドにもぐりこむ。
柔らかいベッドの上に転がり、今日一日の疲れもあってかすぐに寝入ってしまったのだった。
次の日。特に身ぐるみをはがされることはなかった。
むしろニャコの方が熟睡していて、起こそうと獣耳に触ったら、
「にゃん、にゃ~ん」
というエロい声を出されて俺は焦った。
なんでも俺達の世界の漫画にある様に性感帯であるらしい。
尻尾も同様だそうだ。
そして朝食を食べてニャコに連れられて廃材置き場に向かい必要な物を購入した。
そして、部屋にそれを持ちかえり、床に置き、スマホでそれらを映し出してから、
「これ選択範囲はどうなっているんだろうな。とりあえず、ここにある廃材っと念じながら押してみよう。ぽちっとな」
そう言って、俺は画面に触れる。
カシャリとカメラのような音がして、購入してきた廃材が白い光に包まれたかと思うと、カシャカシャと金属がこすれあう音がして……やがて光が収まると、小さなナイフが十本以上と黒い塊が。
この黒い塊は不純物かもしれない、そう思っているとそこでニャコが、
「な、なんて凄い魔法、こんなの見たことがないです。これは寄生しながら操縦してゆくゆくは……」
何やら黒い算段を始めたニャコに俺は、俺がそう簡単に操縦されると思うなよ! と思ったのだった。