目立ちすぎたな
どうせ作るなら、良いものがいい、そう思って作った回復ドリンクの効果は絶大だった。
それらを一口飲むか、ざばーっとかぶるだけで次々と怪我が治り、元気になっていく。
なんだろう、この回復薬。
すごく優秀ではないだろうかと思っているとそこで、ある冒険者が、
「こ、これは、もしやあの伝説の回復薬“リリカルパートナーZ”では」
「知っているのか、お前!」
「もちろんだとも! なんでも死者すらもよみがえらせると言われていた伝説の回復剤だ。かつて、魔王と戦った伝説の勇者たちが持って、使っていたというもんだ。どうしてこんなものが大量に……まさか!」
といった話が聞こえたので俺は、
「ち、違います。以前たまたますごく強い冒険者の方に、譲ってもらった回復薬なんです。いい品だなと思ってまた買いたいと言ったら、その人達は旅の途中だと……まさかそんなものだと俺は知りませんでした」
「え、あ、はい、それは済まない」
そのやけに語っていた男性冒険者が申し訳なさそうに俺を見た。
実際にこれは売ると相当な値段になるのかもしれない。
後で、もう少し弱い回復薬を作る魔道具を作っておこうと俺は決意しつつも、
「……まだ幾らかあるので、でも皆さんのお役に立てて良かった。きっと売ってくれた勇者の方々も、そういった意味もあって俺に安く売ってくれたのでしょう。……では、俺もそろそろ行きますので」
そう言って俺は逃げるようにこの場を去る。
それをニャコ達が追いかけてきて、そして、
「ちょっと目立ちすぎたな。面倒なことにならないうちにこの町から出た方がいいか?」
「そうね、四天王の副官も倒してしまったしね」
アリアが付け加える。
とりあえずそれらは宿に戻ってから考える事にしたのだった。