悪意
薄暗いダンジョンから外の光が見える。
やはり、こういったダンジョン内よりも外の方が落ち着くのは事実だ。
そう思った所で、外で悲鳴が聞こえる。
なんだろう、そう思っていると今度は爆音が聞こえた。
そしてまた聞こえる悲鳴。
助けに行くべきだろうか?
俺が行ってどうにかなるだろうか?
それでも魔道具があるからその力を使えば……そう俺が思っていると、目の前を歩いていたアリアが立ち止まった。
次にフラウもそれに倣うように立ち止まる。
一体どうしたのだろう?
俺がそう思っていると、
「外に強い魔力の気配がするわ。魔王の配下かもしれない」
「え、それは最近見かけたという?」
「おそらくは。むしろ外に出る方が危険かもしれない。一旦ダンジョンにもぐって、しばらく内部で過ごしましょう」
「でも、悲鳴が聞こえた。助けに行かなくてもいいのか?」
俺はついそう言ってしまう。
けれど今の言葉を聞いてアリアは、
「私達の命が最優先されるべき。正直に言って、私達の装備、この剣などもコウジに強化されたとはいえ、戦ってどうにかできるとは思えないの。普通なら戦闘にひでた人たち数十人で挑む、そういうものだから」
「それは……」
「だから今の私達では無理よ。足手まといどころか、殺されに行くような物よ」
悔しそうにそう言って、でもアリアのいう事はよく分かって、それで俺はアリアの言うとおりにしようと思った、その時だった。
「ほう、こんな所にもまだ、“人間”がいましたか。のぞいたかいがありましたねぇ」
そう言って頭に角を一本はやした顔色の悪い男が、ダンジョンを覗き込んだのだった。