見つけた
こうしてアリアが身体強化の魔法を使い、更に掘り進めてくれる。
けれどどれほど頑張っても目的のものではなく、別の貴重な物ばかり手に入る。
それらは武器や防具、魔法的な道具といった攻撃用のものなどにも扱える。
途中からフラウとニャコも手伝ってくれたが、やはり目的のものは見つからない。
ずいぶんたくさん掘ったと思う。
それこそ諦めるには十分なほどに周りを。
そこでアリアが手を止めて、
「これ以上掘っていても目的のものが出てくるとは思えないわ。場所を移動しない? ……辛いけれど」
そう言われて俺はアリアの言う通りだと思った。
理性ではわかる。
でも感情面では納得がいかない。
いらだちを紛らわせるために、俺はすぐそばの壁を叩く。
そこで、たまたま苛立って手で殴った場所が剥がれ落ちた。
ぽっかりと空いた小さなくぼみ。
そこに俺の親指の爪ほどの小さな石が光る。
暗い石の影の中で、7色の輝きを放つそれ。
特に意味はなかったが俺はそれに向かって手を伸ばす。
軽く押すだけで、石ともいえるような壁からそれは転がるように俺の手に落ちてきた。
小さなその塊は、それ自体が輝きを放っている。
と、ニャコが俺の手を覗き込んで、じっと見つめる。
その時俺は期待していて、ニャコはすぐに俺の期待した通りの素材の名前を口にした。
「これです。一度だけ見たことがあります。これは、確実に、“時織の石”……小さくて品質はそこまでよくありませんが」
「そう、か」
ようやく見つけたそれを俺は手のひらに転がして乗せながら、微笑んだのだった。