これがあれば
俺が止める間もなく、楽しそうなニャコが俺の作り上げた剣を掲げた。
すると刀身が一瞬青白く輝いたかと思うと、剣の先に球状に集まる。
そしてその球からすぐに幾つもの白いレーザーが!
ひゅんっ ずばばばば
その白いレーザー光が目の前にいた“トカドラゴン”を攻撃する。
“トカドラゴン”の周囲は攻撃の余波で砂煙が上がって何がどうなっているのかよく見えない。
やがて砂煙が収まってくると……その“トカドラゴン”のいたはずのあたりには、爪やら皮やら、そして魔石やらが乱雑に転がっていた。
それを見て俺が、
「もしかして、今ので倒せたのか? ……伝説の魔物が、一撃?」
呆然とするように呟くと、アリアとフラウも同じように凍り付いていた。
そう言えば攻撃したニャコはどうしているのだろうと思っていると、何かを悟ったような顔をして、
「これがあれば、世界を“盗れる”かもしれない!」
「いや、無理だから。使用制限があるし敵しか攻撃しかできないし。でもこんな威力だったのか……」
「も、もう貰ったので返しません! この剣があればいざという時にコウジに放り出されても魔物を倒して生活できますもん!」
「いや、取り上げないから。ただ威力が強くて危険すぎかもしれない。もしも攻撃の際にダンジョンの壁に影響したら、ダンジョンが崩れるからな」
「そうですね、確かに。……そのあたりは気を付けるとして、そろそろ素材を拾いましょう。売るよりもヒロが使ってもいいものばかりですよ。購入は多分ほぼ不可能なので、これでコウジに魔道具を作ってもらった方がいいかも。アリアとフラウはどうします?」
ニャコのその問いかけに、もし作ってもらえるならその方がいいと、二人は俺に言ったのだった。