変な顔をされた
こうしてこの世界の、それも魔道具に詳しい女の子に寄生されたお陰で、一縷の望みが出来たと俺は喜んでいた、のだが。
「……“メガ鉱石”“ギガの水”“テラの実”、ですか」
「そうだ。それらが欲しいんだが、どうすれば手に入る?」
「……そういえばご主人様のお名前を聞いていませんでした。教えていただけますか?」
「塚原浩二だ」
「コウジ様ですね。はい、えっと……コウジ様は実はこう見えて戦闘能力が高い、とか?」
恐る恐る問いかけられた俺だが、何でそんな事を聞かれるのだろうと思った。
だからないと答えるとニャコは呻いてから、それらの材料が貴重品で、手に入れるのには魔物の多い場所に行ったりしないといけないとの事だった。
そしてどうしてそんなものが必要なのか、と聞かれたので、
「魔道具を作るのに必要だったから。……だったらすぐに換金できて、手に入りやすい材料で作れる魔道具はどんなものがある?」
「そうですね、“マキナのナイフ”という、切れ味の良い小さなナイフはどうでしょう。料理を作ったりといった日常にも使えますし、いざという時の護身用にも使えます。必要な材料も、廃材で何とかなります」
「それだ! 明日、それを購入したい」
「構いませんが、材料も知らないのに魔道具を作れるほど、魔道具作りは簡単ではないですよ?」
「あー、あてがあるんだ」
とりあえず特殊能力についてニャコに伏せておく。
もうすこし、ニャコについて様子を見たかったからだ。
まだ俺はこの世界について知らなすぎるのだから。
その夜、こっそりステータスを俺は確認してみると、どうやら俺の特殊能力は、スマホでなくとも 発現するらしい。
充電しなくても大丈夫なのが良かったというか、俺の特殊能力が作用されてスマホに充電は必要ないし、ああいった四角いガラスの板でも同じようなことが出来るのが分かった。
「この調子で少しずつ調べて行こう」
俺はそう呟き、その日は眠ったのだった。