目の前の謎の魔物
目的は、目の前の謎の魔物。
測定装置の、測定に必要な面の方を魔物に向ける。
先ほど攻撃を無力化したせいで、緑色の瞳で俺達の方を窺うように見ている。
知能もそこそこあるようだ。
そうなってくると、こちらが“弱い”“劣勢”と見るや否や一気に攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
今更ながら恐ろしさを覚える。
けれどここで震えているだけではどうにもならない。
だから俺はその道具を使った。
すると道具の上に、目の前の魔物の、光で作られた立体映像付きで現れる。それによると、
「『“トカドラゴン”小型ドラゴンの一種。だが大きな肉体を持つドラゴンに比べてその肉体は小さいが、大型ドラゴン種の数倍の力を持つ。人を襲う凶悪な魔物の一つ。炎慣例の能力だけでなく、氷、風などの複数の力を扱う。倒すと、そのドラゴンの持っている属性に強い耐性を持つ皮やつめなどの素材や、高純度魔石が手に入る。だがその分危険な敵でもある』簡易版の説明だとそうみたいだ。もっと詳しくも見れるだろうが……アリア、どうした?」
そこで説明を読み上げた俺にアリアが真っ青になっているのに気づく。
そしてフラウとニャコもだ。
どうしたのだろうと思っていると、
「“トカドラゴン”、伝説のあの魔物が」
「も、もうおしまいです」
アリアとフラウが絶望したように呟く。
だが俺としては、
「諦めたら終わりだぞ。というか、俺が強化した武器ではどうにもならないのか?」
「う、うう、とりあえずやってみます」
「俺も銃で攻撃するか。どうせなら一斉攻撃がいいな。だったらニャコ、その件は今使う時だ!」
フラウが弱音を吐いたので、そう告げて俺も銃の準備をして、そしてニャコに指示を出す。
それと同時にニャコが、
「わ、分かりました、それ!」
「待て、皆で一斉に攻撃した方が……」
あの作った短剣を取り出そうとしたニャコに俺は語り掛けるが、遅かった。
ニャコはあの短剣を、頭上高くに掲げたのだった。