“素材”と考えて
トカゲから放たれた炎は青い炎だった。
ガスバーナーの場合では青い部分が温度が高い、その程度の科学の知識は俺にはあった。
そしてこの世界の物理法則が俺達の世界と同じとは限らない。
けれど目の前の実は得体のしれない敵であった魔物の攻撃を、フラウが慌てたように防御しようとするも、乾いた音を立てて防御の何かが崩れ落ちる。
フラウも凍り付いたように動けずにいる。
この間一秒もなかっただろう。
俺はとっさに、自身を守る腕輪をつけた手を、二人の前方に押し出していた。
キンッ
耳障りな高い音がして、その炎が一瞬にして消失する。
防御の魔法の腕輪の効果はなかなかのものだった。
ただ、一つ目の腕輪に、今の一撃でひびが入っている。
これくらいであれは後に三回は一個目の腕輪で防御は出来そうだが、あんな攻撃を何度も受け止めることはできるのか。と、
「こんな魔物が外に出たら危険だわ。なんてものを呼び覚ましてしまったのかしら」
アリアがそう呟く。
どうやらこのダンジョン内で眠る危険な魔物を呼び起こしてしまったらしい。
そもそもこれは、アリアの知っている魔物とは違うようだ。
何かこの魔物についての情報を知るすべは無いものか、そう俺が思っていた所で気づいた。
「素材の測定が出来るなら、魔物もそれ自体を“素材”と考えて情報を読み取れないか?」
思い付きで呟いて、たまたまつけていた素材を見る腕につけた装置を見る。
時計のように小さいそれ。
アリア達が攻撃をしようとしているのを見ながら俺は、その後ろで手助けできるようにするために、その装置を使ってみたのだった。