選択権はなかった
新しいダンジョンルートを俺達は発見してしまった。
こういった道の部分に入るのはどうだろうか?
やはり危険の少ない場所を行くのが良いかもしれない。
だから俺はそう、提案しようとしたのだが。
「凄いわね、新しい場所だから誰も入っていないかもしれないわね。もちろん魔物はいるでしょうけれど、挑戦できるならしてみたいわね。フラウもそう思うでしょう?」
「はい! やっぱりてのはいっていない場所は良いものが落ちていますから!」
といったように二人とも乗り気である。
だが俺としては、
「未知の場所に行くのは危険なんじゃないのか?」
「大丈夫よ、こう見えても私、冒険者レベルはAAだもの」
アリアが自信ありげにそういうも、俺としてはまずランクがよく分からない。
困っているとそこでニャコが、
「冒険者としては上から三番目に優秀なのですよ。というかこの歳で普通は、ここまでいけない、つまりアリアは“天才”なのです」
「そうだったのか。でも依頼主は俺だ。危険な場所にはあまり近づかずに材料を手に入れたい」
と俺はお願いしてみた。
まだ初心者で、武器などもそろっているとはいえ、危険には出来る限り近づかないのが鉄則だと思うのだ。
だがそこでアリアが嗤う。
「こんな新しい場所を見逃す冒険者はいないわ。そして帰りたかったら一人で帰る事ね」
「あ、はい、分かりました」
そうアリアに言われたので俺は一人でダンジョンから帰ることにした。
そして踵を返した所で、何者かに襟首を捕まれる。と、
「素人が一人でダンジョンを動くものではないわよ。行きましょ!」
「というか俺に選択権はなかったんじゃないか!」
という俺の叫び声は無視され、未知のダンジョンに突入したのだった。