魔法使い
眠気覚ましや酔い覚ましの効果がある炭酸飲料と一緒に、“マレンジジュース”というマンゴーとオレンジを混ぜたような風味の果物のジュースを購入して俺は席に戻ってきた。
そして俺はその内の炭酸飲料の方だけをニャコに渡す。
ちなみにニャコはその時どうなっていたかというと、
「何だか熱くなってきちゃった~、脱いじゃおう♪」
「「だめぇえええ」」
アリアともう一人が一生懸命抑えている。
そして周りの冒険者たちは興味があるらしく、にやにやしながら様子を見ている。
ここは……俺は空気を読んで少し遅れていくべきか? と思ったが、そういうわけにもいかないので俺は飲み物を持っていき、
「ニャコ、これを飲むように」
「はーい。ごくごくごく、ぷは~、もう一杯!」
「……服を着るように」
「は~い」
俺がそう言うと素直に服を着始めた。
良かった良かったと俺が思っているとそこでアリアが、
「ふーん、そのまま放置しようとはならないのね」
「当たり前だ」
「……良識的な人物のようね、なるほど」
アリアがそう言って頷いているのを見ながら、当たり前の行動をしているだけだよなと俺は思った。
と、そこでニャコが楽しそうに、
「そうですよ。一緒のベッドに眠っても、コウジは何もありませんでしたからね!」
何か思う所がありそうな目線で、アリアと魔法使いの少女が俺を見た。
その憐れむような微妙な表情に俺の繊細な心がじくじくと痛む。
だからと言って自分の欲求に素直になるわけにはいかず……俺は、全てを考えるのを放棄し、別の話題にもっていくことにした。つまり、
「アリア、そちらの魔法使いらしき人物はどちら様でしょう」
「そういえば紹介していなかったわね。自分でする?」
「はい。私は、フラウ・メチカ。魔法使いをやっています。よろしくお願いします」
そう微笑んだのだった。