マタタビ
ニャコのいる場所と思って周りを見ますと、そこでは女の子が一人増えていた。
最近見かけない、前髪の部分左右を三つ編みにした黒髪の少女である。
鮮やかなピンク色の瞳が象徴的だが、何処か大人しいというかおどおどしたというか、そんな人物のようだった。
黒いローブを着て木製の杖を持っていることから、魔法使いなのだろう。
そう俺が思っているとそこで、俺に気付いたニャコが、
「わ~、コウジが来ましたです、ほいゃっは~」
そう言って立ち上がり俺に抱きついてきた。
何が起こった、そう俺が思っているとそこでニャコが相変わらず顔を赤らめながら、
「コウジが来るの……ずっと、待っていたんですよ……」
「……アリア、一体俺がいない間にニャコに何が」
「……ここでは新顔で、猫の獣人だからと、周りの冒険者の方が新設にマタタビ入りのお菓子をくれたのだけれど……思いのほか効いちゃって私達も持て余していたの。来てくれて助かったわ。後はよろしく」
そう言ってアリアは目の前のジュースに手を付ける。
そして俺はというとニャコに抱きつかれつつ、
「コウジは行き倒れた私を拾ってくれたので大好きです~」
「あ、はい。分かったのでまずは恩人のお願いを聞いて椅子に座りましょう」
「にゃ~ん」
だが椅子に座った後もニャコは俺に抱きついてくる。
俺自身そんな経験は“まだ”無いので緊張してしまいながらも、そこで俺はひらめいた。
「ニャコ、俺は飲み物を買ってくる、放してくれ」
「うにゃ~、分かりました」
素直に話して呉れたニャコに安堵しながら俺は、ああいった状態から元に戻すための飲み物を、その酒場の人に聞いて購入したのだった。
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