メイフにて転生せよ 共通①
人間は死んだら転生できる。
古来からそういう言われているもので、私は信じていた。
しかし、冥界という暗い地獄より少しマシな空間に着いた私と、先にいた三名の男子達は冥界の王にとんでもない事を言われる。
「前にも言ったがな、転生したいなら他の奴を蹴落とし、転生券を手に入れろ」
生まれ変わるには券が要るらしい。
「けどさ、俺達は4人、転生券は三枚しかないんだぜ?」
死んだのに生きてるみたいに元気なイッカくん。
「一枚くらい転生券サービスはしてくれないのか冥界の王よ」
インテリ眼鏡のカロウくん。
「それはできんな、三枚でも吐血するレベルだ」
冥界の王が大量吐血で死ぬわけない。
「…俺はいい、お前ら三人の勝利でいいだろう」
目付きは怖いけど皆に気遣いをしてくれるハネラくん。
そして私は海原夜槻
ここではオボレと呼ばれる。
皆変な名前なのは死因を文字っているからだ。
なぜ転生に券が必要か何度聞いてもはぐらかされる。
時間の概念もここでは忘れてしまう。
ここに来て大体一月になるようだ。
あの日私は家族と海で遊んでいた。
両親が海の家にいったとき私は海の中に入り泳ぐ。
そのとき足をつってしまい、まともに泳げなくなる。
つめたい海で、息もできずにいた。
もがいて息を吸おうとしたのに誰も私に気がついていなかった。
戻ってきた父と母はただ冷たくこちらを見ている。
気がついていて、なのに――――。
『やっと離婚できるわ』
『慰謝料は払わないからな』
薄々わかっていたことだが、両親は仮面夫婦。
私は事故に見せかけて殺害されたのだ。
そして私は海に沈んでいった。
私は目を開けると、見たことのない場所にいて、ごつごつした床と、炭のような壁、黒く闇につつまれた空に、自身の死を理解した。
『お前は死んだのだ』
冥界の王は、玉座に肘をついたまま、そう言った。
『そうなんだ』
なら、はやく生まれ変わりたい。
私は今度こそ良い家族と幸せに暮らしたい。
『妙に落ち着いているな、冥界に恐怖はないのか』
『ないよ。だって人間は死んだら生まれ変わるんでしょ?』
人間は死んだら魂が出て、別の人間になって新しい人生をてにいれられる。
調べなくても、それは皆しっていること。
『ウミハラヤヅキ…お前には生まれ変わる資格がない、だから転生はできないぞ』
『なんで!?』
生きていたときに悪いことをした人は生まれ変われないって聞いたことがある。
だけど私はなにも悪いことしてないのに資格がないなんてありえない。
『たとえ他殺による溺死とは言え、お前は最期には諦めた…最後までもがいて生きようと努力はしなかった』
たしかに、今死んでもどうせ生まれ変わると思ってそのまま力を抜いた。
だけど、死にたくてああなったわけじゃない。
悪いのは私ではないのだから。
『お前に権利がないと言ったが、罪人のように永久的な輪廻転生を外れたものではない』
『え…?』
『お前のように生を諦めた者の転生には権利が要る』
『ということは!!』
『生きたい証を証明してみせろ』
そのためなら蹴落としてやる。