その後の女王様とユキ 「視察(デート)に行きましょう!」
「女王様、デートをしましょう!」
「はい?」
それはとある日のこと。ユキが女王を見かけると邂逅一番そんな事を言ってきた。
「ですからデートですよ。デート」
「ええと……」
「さぁ、そうと決まれば早速行きましょう!」
「ちょ、待って。お願い少し待って」
このままではユキのペースでどんどん進行していきそうだったので女王はあわてて止める。
「どうかしました?」
それに対してユキは不思議そうな顔をする。
「いや、そんな不思議そうな顔されても。とりあえず、いきなりどうしたの?」
「どうしたと言われましても……デートがしたくなったとしか」
「うっ。えっと……その……ユキ?私これからこの国のものたちをちゃんと探そうって思ってるんだけど」
「それは存じてますよ」
「だからこれから色々考えるべき事がある訳なんだけど……」
「それも存じております」
「ええと、なら……」
「ですが!!」
「っ!?」
「ただ考えているだけでは非常につまりません。主に私が!なのでここは実際に現地を視察しながら考えるといいと思います!なのでもう一度。視察に行きましょう!」
「……今あなた、視察とデートをごっちゃにしたわよね」
「別にいいではないですか。似たようなものですし」
「いや、全然違うものでしょ!」
「いいえ、似たようなものです!大好きな人と一緒に出かける。これをデートと言わずして何をデートと言うんですか!」
「だだだ、だいす……」
「はぁ。大好きな女王様とデート。考えただけでユキはもう……」
「ストーーーップ」
女王とのデートを想像したせいかユキの顔はかなり上気したものとなっている。
対するユキの想像|(というより妄想?)を止めた女王の方はといえば、恥ずかしさのため顔が赤くなっている。
「わかった、わかったわよ、もう。だったらさっさと行くわよ。デ、デートに」
そのため、それに続く言葉こんなそっけないものになってしまう。
「ふふふ。はーい」
対するユキは嬉しさが隠しきれない……隠そうともしない満面の笑みでもって応じる。
「女王様、折角ですし手でも繋ぎませんか?」
そう言って手を差し出すユキ。
「うっ。い、いいわよ」
そして女王も恥ずかしがりながらではあるが手を差し出す。
しっかりと手を―お互いの指と指を絡めて―繋いだ事を確認した2人はどちらからともなく歩き始める。
今日はきっといい1日になりそう。