第05話
北は北海道苫小牧市。
フェリーから86に乗った玲奈と俊が出てくる。
「玲奈は確か北海道は初めてだったよね?」
「うん」
頷く玲奈。
二人は連休を利用して北海道旅行に来ていた。
さて──俊は86をスキー場へ向けて走らせた。
「スキー楽しみだなあ」
「そう言えばスキーもやったことなかったね」
リアシートの後ろにスキーの板が積まれてる。
スキー場に着き、二人は板を持って受付へと向かう。
手続きが終わると、二人は更衣室で服をスキーウェアに着替え、外へと出た。
板を履き、リフトに乗って山頂へ上る。
俊は後ろ向きになり、玲奈に手取り足取りで滑り方を教える。
「八の字にして」
言われた通り板を八の字にする玲奈。
玲奈はゆっくりと滑り出す。
俊は後ろ向きに逆八の字で滑る。
「曲がるときは曲がりたい方向の足の力を抜いて反対側に体重を乗せるんだ」
玲奈が左に体重をかけると、右に曲がり出した。
「きゃあ!?」
玲奈はバランスを崩して倒れた。
起き上がろうとするが立ち上がれない。
「片足を上に上げてもう片方の足に合わせると立てるよ」
玲奈は言われたようにして立ち上がった。
「難しいね」
「初めてだからね」
そうして暫く何度か登ったり滑ったりを繰り返し、休憩をしようと麓のレストランに入った。
その瞬間、店内に悲鳴が響いた。
「うわああああ!」
玲奈と俊は悲鳴の元へ駆け付けた。
そこは男子トイレで、個室の前で男性が腰を抜かして座り込んでいた。
「あ……ああ……!」
男性が個室の中を指差す。
その向こうには、血まみれになった男性の姿が。
そこへ騒ぎを聞きつけた店員がやってくる。
「何か?……はっ!」
遺体を見て驚き戸惑う店員。
「警察です! トイレから出て下さい!」
俊が警察手帳を提示する。
落ち着きを取り戻した第一発見者と店員がトイレから出て行く。
俊は110番通報で警察を呼んだ。
その後、道警がやってきて捜査が始まる。
道警によると、被害者は沼田 透、21歳。職業はルポライターである。
沼田は休暇を利用してスキーを楽しみに来た東京出身の男性だ。
第一発見者は吉村 隆、21歳。近所に住む事件記者だ。
鑑識によると、被害者はナイフのようなもので滅多刺しにされて死に至った、という。
玲奈が現場へと入っていく。
「こら!」
道警の刑事が玲奈を捕まえた。
「ここは遊び場じゃないんだ。出て行きなさい」
つまみ出される玲奈。
「刑事さん、この子に現場を見させてあげてくれませんか?」
「あんたは?」
俊が警察手帳を見せる。
「警視庁の方ですか。しかし、なぜ子どもに?」
「こいつ、頭いいんですよ。東京ではいろんな事件を解決してるんですよ」
「だけど、しかしねえ……」
渋る刑事。
「変なことしないよう見てますから。ね?」
「まあ、今回だけですよ」
玲奈は嬉しそうに現場へと入っていった。