第03話
玲奈は金庫をチェックした。
(この金庫、一億円を入れるにしては小さいんじゃ?)
リビングへ移動する玲奈。
(おじいちゃんはリビングに倒れていたのね)
「おや? 玲奈ちゃん」
と、玲奈の祖母が口を開く。
「あ、おばあちゃん」
「事件に進捗はあったのかい?」
「いや、まだこれといって」
「そうかい。じゃ、何かわかったら教えてちょうだいね」
祖母はそう言って台所へと入っていった。
玲奈はリビングを調査する。
遺体が倒れていた場所に血痕は見られない。祖母が綺麗にしたのだろうか。
玲奈は台所の祖母の下へ移動する。
「ねえ、おばあちゃん。おばあちゃんはおじいちゃんが殺された時、どこに行ってたの?」
「銀行よ。それがどうかしたの?」
「ううん。ありがとう」
踵を返す玲奈。
祖母は玲奈を睨め付ける。
「お兄ちゃん!」
玲奈が俊を呼ぶ。
「どうした?」
兄がやってくる。
「私、調べたいところがあるんだけど」
「警察手帳が必要なのか?」
「うん」
「行こうか」
玲奈と俊が家を出て86に乗った。
86は銀行へと向かう。
銀行にやってきた玲奈と俊は中に入り、警察権を使って祖母の口座を調べた。
祖母の口座には、入金と出金の記録が残っていた。
一億円の入金と、五千万円の出金だ。
相手先の口座を調べると、金融会社の口座であることがわかった。
玲奈と俊はその金融会社を訪ねた。
「警察の者ですが」
俊が警察手帳を見せると、スタッフたちは顔を渋らせた。
「黒崎 重子さんはいくら借りてたんですか?」
「計五千万です。でも先日、全額返済されてますね」
「そうですか」
ありがとう──と、事務所を出る二人。
「お兄ちゃん、決まりだね」
「ああ」
玲奈と俊は祖母の下へ戻った。
「おかえり、二人とも」
「おじいちゃんを殺した犯人、おばあちゃんでしょ?」
険しい顔をしていた祖母の表情が綻ぶ。
「悪いことはできないものねえ」
「どうして殺したの?」
「お金のためよ」
「借金作ってたもんね」
「そうね……」
その場に崩れる祖母。
「自首、してくれる?」
「……そうね」
祖母が立ち上がり、俊に両手を差し出した。
「いいわ。逮捕してちょうだい」
俊は祖母の両手を下ろした。
「自首した方が罪が軽くなるよ」
「そうなのかい」
俊は玲奈とともに祖母を連れて県警へと向かった。
県警で事情を説明すると、祖母は取り調べが行われ、その後逮捕されたという。




