表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

第19話

 俊が救急車を呼び、八重崎を病院へ運んだ。

 緊急手術で一命を取り留める八重崎だが、意識は回復しない。

 神奈川県警公安部の刑事が、病室に入ってきた。

「黒崎 俊さん、ですね?」

「はい」

「あなたは八重崎が狙撃された時、目の前にいた。何か気になったことはありますか?」

「いえ、突然だったので全く」

「八重崎にはどう言ったご用件で?」

「姉が以前、神奈川県警の事務職だったんですが、その時に親交があったみたいなんですけど、転職したあと連絡が取れなくなったと相談を受け、様子を見にきたんです」

「そのお姉さんは、今はどちらで働かれてるんですか?」

「麻取ですよ」

「なるほど……。それで、あなたのご職業は?」

 俊は刑事に警察手帳を提示する。

「同業者でしたか」

 おや?——と、玲奈に気づく刑事。

「こちらはお子様で?」

「いえ、妹です」

「玲奈です」

 公安の刑事が玲奈に顔を合わせるようしゃがみ込んで言った。

「公安部の四方田よもただ。よろしくな」

「それで、四方田さん、八重崎さんが撃たれることに思い当たる節はあるんですか?」

 四方田は立ち上がって答える。

「恐らく、八重崎の潜入先の関係者だと思われますね。自分たちの身が危ぶまれたから、先手を打ったところではないでしょうか。まあ、あとは我々神奈川県警でやりますので、お引き取り下さい」

「コウノトリ」

 ふと玲奈がその名称を口にする。

 驚く四方田。

「君、どうしてそれを?」

「前に姉がラインで話してたんですよ。コウノトリに潜入するって」

「弟さんではなくてなぜ君に?」

「え? あ、それは……、まあいいじゃないですか」

「玲奈ちゃん、知ってること話してくれるかな?」

「いや、私もそれだけしか聞いてないから。でも、四方田さんの驚きようで、八重崎さんがコウノトリに潜入しようとしてたのはわかりました」

 その時、四方田のスマホから着信音が鳴る。

「はい、四方田」

 電話に応答する四方田。

「え? 井上が? わかった。すぐ戻る」

「どうされたんですか?」

「コウノトリの関係先に潜入していた井上っていう仲間が遺体で発見されたそうでして」

 四方田は俊の問いにそう答えた。

「それじゃ」

 四方田はそう言って慌てて現場へと向かっていった。

「ねえ、お兄ちゃん」

「なんだ?」

「コウノトリ、警視庁の方で情報掴めないかな?」

 その時だった。

「う……」

 八重崎がうめき声を上げる。

「八重崎さん?」

 振り返る二人。

「……。ここは?」

 八重崎が意識を取り戻した。

「八重崎さん、僕がわかりますか?」

「俊くんだったね。洋子さんの弟の」

「八重崎さん、コウノトリに潜入しようとしてたんですか?」

「ああ。さっき井上がどうとか言ってたが……」

「井上さんが亡くなったそうです」

「そう……か」

「八重崎さん、コウノトリってなんなんですか?」

「お嬢ちゃん、君には関係ない話だよ」

「帰るよ、玲奈」

 俊はそう言って病室を出ていく。

「あ、待って」

 追いかける玲奈。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ