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第15話

 玲奈は俊の運転する86の助手席に乗っている。

 車は新潟の某所に向かっていた。

「お兄ちゃん、わざわざ乗っけてもらっちゃって悪かったね」

「子どもを一人で遠出させるわけにはいかないからね」

「でもなんで手紙の主は私のこと知ってたんだろう?」

「それは、行ってみればわかるさ」

 ……。

 …………。

 ………………。

 86は新潟の山奥の洋館の前に止まる。

 俊はインターホンを鳴らす。

「はい?」

「黒崎です」

「黒崎様ですね。お入り下さい」

 俊と玲奈は洋館に入った。

 メイドが二人を出迎える。

「ようこそおいで下さいました、黒崎様」

 と、メイドは俊に顔を向けるが、目だけは玲奈を見ていた。

「では、ご案内いたします」

 メイドが二人を客室に案内した。

「こちらでお休み下さい」

 客室に入る玲奈と俊。

 その時、屋敷の外で雨が降り出す。

「雨?」

 玲奈は窓に駆け寄り、外を見つめる。

 豪雨だ。

 玲奈はもらった手紙を取り出す。

 手紙には、差出人の娘を殺害した犯人を暴いてほしいと書かれている。

 コンコン、とドアがノックされる。

 俊は扉を開けた。

「旦那様がお呼びです」

 先ほどのメイドがそう言う。

 玲奈と俊はメイドに案内され、主人の待つ応接室に移動した。

「旦那様、黒崎様をお連れしました」

「私宛に手紙を出したのはおじさん?」

「そうさ。君を招待したのはこのワシ、毒島ぶすじま 公昭きみあきだ」

「ふーん。早速だけど、おじさんの娘さんの話を聞かせてよ」

 玲奈は公昭の向かいのソファに腰掛けた。

「娘、涼子っていうんだが、一昨日の晩に遺体で発見されたんじゃ。現場は涼子の部屋でな、首を吊っていた。現場には首を吊る際に使ったと見られる椅子と、遺書が机に残されていた。警察は現場の状況から自殺と断定したんじゃが、ワシは殺されたのだと思っておる。お願いじゃ、涼子の死の真相を突き止めておくれ」

「それじゃあ、一度現場を見せて?」

「いいとも」

 公昭はメイドに目配せした。

「こちらでございます」

 メイドが二人を事件現場に案内した。

「なるほど。天井の電気からロープを垂らして首を吊ったのか」

 と、俊は部屋の中を見て言う。

「第一発見者は?」

「お嬢様とお付き合いされている、小島こじま 義隆よしたかという方でございます」

「その小島さんはどこに?」

「それが、お嬢様が亡くなってから連絡が取れないのです。ですが、事件性がないとのことで、警察は追求はしませんでした」

 玲奈は机の上の写真立てを取った。

「これに写ってるのは?」

「お嬢様と小島さんでございます」

「綺麗な人だね。小島さんもイケメンだし」

 メイドの顔が曇る。

「……?」

 玲奈は怪訝に思った。

(小島さんと話してみたいけど、連絡が取れないんじゃなあ……)

「黒崎様、今日はもう遅いですし、泊まっていかれて下さい。生憎、外も大雨なので」

「メイドさん、館の中を探索してもいい?」

「構いませんが、くれぐれも地下室にだけは行かないで下さいね」

(地下室?)

「うん、わかった」

 玲奈は探索に向かう。

 廊下を歩いていると、下に降りる階段を見つけた。

(ここが地下への入り口か。ようし……)

 玲奈は辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると、地下への階段を降り始めた。

「ん?」

 血の臭い。

 玲奈は臭いの元へ急いだ。

 扉の隙間から中が見える。

 開けてみると、中で写真の男が、頭から血を流して倒れていた。

「小島さん!?」

 玲奈は男に駆け寄り、生死を確認した。

 呼吸はない。

 脈もない。

「死んでる!?」

「一体なんの騒ぎです?」

 スーツ姿の男がやってくる。

「お嬢ちゃん、こんなとこ……に!?」

 スーツの男は玲奈のそばに倒れる遺体を見て驚いた。

「お嬢ちゃん、これは一体?」

「この人、小島さんで合ってる?」

 スーツの男が遺体を確認する。

「間違いなく小島さんだ」

「お兄さん、警察を呼んで! これは殺人だ!」

「あ、ああ!」

 スーツの男は階段を駆け上がり、固定電話で百十番通報をしたが、大雨の影響で途中の道が土砂で塞がれ、臨場できないとのことだった。


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