第14話
二人は映像から目を離した。
映像にあったフルフェイスの色は黒だった。
「お兄ちゃん、フルフェイスにCBっていう文字が書いてあるのが見えたんだけど、CBって何?」
「たぶん、Cloud Bikeだね。ヘルメットを販売してる会社だよ」
「ふーん……」
玲奈は映像で犯人が逃げて行った方向と同じ方角を見る。
(あそこは……)
玲奈は自分が立っている通りの向かって左側にコンビニを見付けた。
(あそこなら!)
「お兄ちゃん、あのコンビニ」
「コンビニ? 行きたいのか?」
「うん」
「行って来い」
「違うよ。お兄ちゃんも行くんだよ」
「あ?」
「行くよ!」
玲奈は俊の手を掴んで駆け出した。
「おっ、ちょっ……」
転びそうになる俊だが、なんとかバランスを整えて歩き出した。
二人はコンビニに入る。
玲奈は防犯カメラをチェックした。
「お兄ちゃん、手帳であのカメラの映像見せてもらえないかな?」
「やってみる」
俊は店員に警察手帳を提示した。
「警察です。申し訳ありませんが、あのカメラの映像を見ることって可能ですか?」
「け、警察?」
玲奈は店員の反応に訝しさを覚えた。
「カメラの映像……」
「あ……映像ですね」
店員が二人をスタッフルームに入れて映像をモニターに映した。
カメラが外を映した映像が流れる。
だが、映像には逃げた犯人の姿が映っていなかった。
玲奈は俊の声で言った。
「これ本当に事件当時の映像ですか?」
「そうです。もちろん、放火の時のです」
「店員さん、なぜ放火だと?」
「えっと……それは、その……」
「僕は事件と言ったたけで放火とは言ってませんよ」
「だって、消防が来てるじゃないですか」
「火の不始末による火災かもしれない」
「うっ……」
「もう言い逃れはできませんよ!」
店員はその場に崩れた。
「なんで放火したんですか?」
「手紙が来たんです」
「手紙?」
「僕の家、前に放火されたんです。それで、しばらくしてから手紙が来て、放火犯の名前と住所が書いてありました」
「それ、まだお持ちですか?」
「はい」
店員が懐から封筒を取り出す。
中には白い紙が入っている。
取り出してみると、店員の家に放火した犯人の名が洋子になっており、住所が書いてあった。
「姉さんがこんなことするはずがない!」
俊は差出人を見るが、しかし、送り主の名はなかった。
俊は110番で警察を呼び、やってきた捜査員に事情を説明すると、店員は警官隊によって連行されていった。
「ご協力感謝いたします!」
刑事がそう言って敬礼して去っていく。
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