第12話
玲奈は非番の俊と都内の遊園地ロイヤルランドへ遊びに来ていた。
二人は絶叫マシンに乗ったり、お化け屋敷に入ったりして楽しんでいる。
時間の経つのを忘れて遊んでいると、玲奈のお腹が鳴る。
「お腹空いた」
俊が時計を見る。
「もうこんな時間か。何か食べるか」
二人は園内のレストランに向かって歩き出した。
その時、背後で爆発が起きた。
ドカーン!
振り返ってみると、先程まで乗っていた観覧車のカゴの一つが跡形もなく粉々に吹き飛んでいた。
「食事は後回しだ」
二人は現場へ駆け付ける。
死者二名。
俊は係員に手帳を提示してカゴに乗っていた人数を確認した。
そして、携帯で百十番通報をして捜査一課を呼んだ。
警察の捜査と係員の協力で、亡くなったのは千葉に住む新婚夫婦であることがわかった。
上妻 隆弘と妻の美代子である。
捜査員は他に爆弾がないか捜索を開始した。
幸い、爆弾は発見されなかった。
玲奈と俊は警備室に行き、パークの出入り口の防犯カメラ映像を確認した。
防犯カメラ映像に怪しい人物は映っていない。
「お兄ちゃん、従業員の入り口も見せてもらおうよ」
「すみません、従業員用の入り口に防犯カメラは?」
「従業員用の入り口に防犯カメラは設けておりません」
「だって」
玲奈と俊は警備室を出る。
「どうする?」
「被害者の交友関係はどうなったかしら?」
「聞きに行ってみるか」
二人は他の捜査員と合流する。
「被害者の交友関係は?」
「亡くなった妻の方の知人に爆弾魔がいましたね」
「爆弾魔?」
「十年以上前に捕まって、最近になって出所しました。名前は碇 陽介です」
(碇?)
玲奈は観覧車のスタッフの名前を思い出す。
名札に碇と書かれていた。
「まさか!」
玲奈は駆け出した。
「玲奈!」
後を追う俊。
玲奈は観覧車のスタッフに声をかけた。
「碇さん、あなたですね?」
「何が?」
「爆発事件の犯人ですよ」
「なっ……何を根拠に?」
「あなたの親戚に碇 陽介って人がいるでしょ? 爆弾を作ってもらったんじゃない?」
「陽介は確かに親戚だけど、俺が爆弾を作成させる訳がない」
そこへ俊がやってくる。
「碇さん、陽介さんを逮捕しました。陽介さんは全て自供してますよ」
「何!?」
碇が折りたたみナイフを取り出し、玲奈を人質に取った。
「貴様!」
玲奈が碇のキンタマを踵で蹴りつけた。
「ぐお!」
碇が玲奈を手放し、キンタマを押さえる。
俊は手錠を取り出し、碇の手にかけた。
碇が警官に連行される。
取り調べで碇は動機についてこう述べた。
「あの男が俺から彼女を奪ったんだ。そして彼女はあいつに気持ちが移ってよ。だから観覧車に爆弾を仕掛けて、爆破してやったんよ」
「被害者の二人はどうやって誘ったんだ?」
「チケットを送った」
その後、碇は送検された。