プロローグで御座流
いつからだろうか、人類が年を数えなくなったのは。
いつからだろうか、科学が止まったのは。
いつからだろうか、俺が不安になったのは。
基本的には人類は滅ぶべき、あるいは地球から消えるべきだと思う。しかし皆そういうことはわかっていても、自分は死にたくないだろう?これが人類の矛盾だある。
それが集まればどうなるのだろうか。結果、人類は消えないし、滅びない。
そんなことは誰だって知っていた。だから人類は、地球に頼ったのだ。
つまり「誰かが我々を滅ぼしてくれる」、そういうことになってしまうのだ。それは仕方の無いことだ。世界には仕方に無いことが沢山ある。
しかしどうだろう、もし宇宙人がこの地球の人類だけを滅ぼしに来たとしよう。そうすれば私たち、人類はどういう行動をとるだろうか。簡単だ。抵抗する。それだけだ。
つまり人間は結局矛盾だらけの生物なのだ。というか矛盾しないと生きていけないだろう。だって自分の背負っている「七つの大罪」で自殺してしまうだろう。
それはどんなに年月を重ねても変わらない。もし変わってしまったら人類は滅亡する。
ならば「人類が抵抗できない勢力が襲い掛かってきたら」、我々はどうするのだろう?
俺は、また誰かに頼るのだと思う。ただでは諦めないだろう。いや、もしかすると俺達は、知らないうちに誰かに頼らせているのかもしれない。
今回、俺はそれを学んだ。
「ええと、ああ違う違う。こうだぜ」
俺は中学校で二年D組の教室で、七月六日、三時間目終了後、数学を友達の語尾 悟
に教えてもらっていた。
間違ったら教えてくれる。別に頼っている訳ではないのに、いや解答までの経路は頼ったのだが。
悟は俺の間違った答えの途中式と見られる数字を書き始めた。ん?なんかこの数字どっかで見たような…。
「これスーパーのチラシの半額商品の値段一覧じゃねぇか!!なんで覚えてるんだよ!俺もな!!!」
つーか記号無いし!単位円だし!教えてくれるならちゃんと教えてくれよ…。
「候ってそういうことなんで知ってんだ?チラシのことだよ。俺はただ今日朝刊で見かけただけなのに、『なんでも知ってる御座流 候くん』っていう風に名付けるぞ」
「なぜに…」
キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴った。
「終わっちまったよ、休み時間。」
「サボっちまうか?」
俺は冗談交じりに言った。
「えー次終坂の授業だぜ?サボったら殺されるよ」
「しゃーねーかぁ」
こんな感じにちゃらんぽらんに生きていた俺(俺よりも悟の方がちゃらんぽらんな気もするが)、楽しけりゃなんでもいいって感じである。まぁ普通の人間だしな。
―とかそんな風に思っていた。というか思っていたかった。そうじゃないとまともに生きていけない。社会的な意味で。しかし、四時間目が始まり、五時間目が始まり、六時間目が終わり、帰宅しているときから、なんとなく、本当になんとなく常識的から、常識な社会から突き飛ばされることになった。