番外編:決戦前夜
「グレン、マスター。頼みがある」
日本からの通信で紫電は言った。ここは日本軍名古屋基地である。
「すまないが、『ノア計画』が行われた場所を調べてもらいたい。そこに何かがある可能性がある。『クィーン』は何らかの布石を置いている可能性が高い」
それだけ言うと通信を終えた。
数日後、調査を終えたグレンから連絡が入る。
「そうか。地下に……があったか」
『ああ。『ノア計画』の起こった場所には全て』
「了解した。それがおそらく『クィーン』の最終的な狙いであり、人類への『復讐』なんだろう」
『えげつない復讐もあったもんだ』
「ヤツの経緯を考えれば当然かもしれんがな」
『経緯?』
「ヤツは元人間。クィーン=ウィスタリアという天才科学者だったそうだ。肉体が滅びても頭脳が残れば、それを人類の栄華に利用しようと脳みそだけを残した。半永久的に」
『そんなことまで調べたのか』
「裏では結構有名な話だがな。まあいい。それで日本軍は『ノア計画』が起こった地点に向かわせる。そこの指揮も頼む」
『分かった。簡単な指示を出すだけでいいから引き受けよう』
「俺はこのまま直接対決へと持っていく。くれぐれも頼んだぞ」
『任せてくれ』
「……ありがとう。俺のような人間を信じ、これまで動いてくれて」
『おいおい、最後みたいなこと言うなよ』
「別にページが足りないから言ってるんじゃない。それだけ危険な任務だということだ」
『根も葉もない言い方だな。おっと、忘れてた。別口の依頼の報告だが……』
「聞こう」
紫電はメモ帳を取り出した。
『やはり、クィーン=ウィスタリアは白が好みだったようだ。パンツの色じゃないぞ』
「……アホか。分かっている。黒色をなぜか嫌っていたということだな」
さらさらとメモ帳に書き綴る。
『ああ』
「礼を言う。これで……終わりに出来るかもしれん」
紫電はペンを置いた。
『終わりにしようぜ。大戦も、悪夢も』
「ああ」
電話を切った。
「すぐ、楽にしてやるぞ」
殺意のない声で呟くと、紫電は部屋から出て行った。
こんにちは、今日は休みをとりました。
といっても家で仕事なんですけどね(とほほ)
これは紫電が決戦に行く前の話です。
短いですが、これにも伏線張ってあります。
誤爆しないようにしなければ(笑)
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……