(実話を基にした作品)豚化萌えの過去の豚顔女性との出会いを振り返り。
豚顔の記憶:九人の彼女たち
プロローグ
僕はずっと、自分の好きな女性の顔は豚顔だと思ってきた。これまで何人もの豚顔の女性と出会ってきたが、どれも交際には至らなかった。現在の妻は豚顔ではない。だが、妻との関係性がうまくいかないいま、僕は過去の豚顔女性との出会いを懐かしんでいる。
甘くも切ない記憶が、胸の奥でくすぶる。なぜ僕は彼女たちの「豚顔」にこんなにも惹かれたのか。美醜の基準を越え、顔立ちではなく「居心地のよさ」や「その子らしさ」にこそ恋をしていたのだと、今ならそう言える。記憶はあいまいになっても、あの笑い声や鼓動だけは色あせずに残っている。
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第一章 あきこ(小学校時代・同級生の妹)
小学四年生のとき、隣の席の同級生の妹、あきこちゃんに出会った。頬がふっくらして子豚のようで、いつもクラスで一番大口を開けて笑っていた。図書室で本を取るのを手伝ってくれたことがきっかけで、僕は彼女に恋をした。放課後、学童クラブで一緒に折り紙を折りながら、僕の心臓は彼女の笑顔を見るたびに跳ね上がった。
あきこちゃんは無邪気で、汗ばむ手のひらをすり合わせて「ありがとう」と言った。ごく普通の日常が、特別な煌めきに変わっていく瞬間だった。僕は鏡に映った自分の顔が赤らむのを感じながら、心のなかで何度も「好き」と囁いた。
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第二章 えりか(金持ちの同級生の妹)
あきこちゃんの次に意識したのは、金持ちの同級生、佐藤くんの妹、えりかちゃんだった。家が大きく、真っ白な犬走りと手入れの行き届いた庭を誇っていた。彼女の顔もまた豚顔で、頬骨が張っていて、元気いっぱいに校庭を駆け回る姿が印象的だった。
ある運動会の日、彼女の手作りの応援団旗に名前を書いてもらった。青いペンで僕の名前を丁寧に書くその手つきは、かすれもせず美しかった。僕はその日の帰り道、一人で旗を抱きしめながら「彼女のそばにいたい」と願い続けた。
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第三章 ちあき(小学校五年生のクラスメイト)
五年生になり、クラス替えで席が近くなったのは、ちあきちゃんだった。体格ががっしりしていて、運動神経抜群。だけど顔は豚顔で、笑うと口元がむくんだようにぷっくりする。いつも大声で笑うので、彼女がいるだけで教室が明るくなる。
図工の時間、僕が困っているとそっと隣に来て「こうするといいよ」と手伝ってくれた。手先は意外に器用で、色彩の組み合わせまでアドバイスしてくれた。彼女が僕の隣で黙々と作業する背中を見ながら、僕は自分の手が汗ばんでいるのを感じた。
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第四章 ともみ(小学校五年生のクラスメイト)
同じく五年生だったともみちゃんは、スタイル抜群のスポーツ少女だった。細身の体に元気さがにじみ出ているのに、顔立ちはやはり豚顔。鼻は低く丸みを帯び、笑うと両頬がぷっくりと持ち上がる。誰からも「かっこいい」と言われるのに、僕はその顔にこそドキドキしていた。
体育の授業でペアを組んだとき、彼女は僕の弱点を一瞬で見抜いてくれた。「腕はこう振るんだよ」と、アドバイスをくれた指先の柔らかさが今でも忘れられない。僕は体育館の明かりの下で、彼女の横顔が輝いているように見えた。
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第五章 りさ(小学校五年生のクラスメイト)
同じクラスのりさちゃんは、身長が高くて大人びた印象だった。でも顔は豚顔で、小鼻が丸く、鼻先をほんの少しほじる癖があった。僕はその隠れた仕草に萌えポイントを見いだしてしまった。「見られたら恥ずかしいよ」と笑いながら鼻を拭く彼女に、なぜか心が急騰した。
放課後、図書室の片隅で二人きりになったとき、彼女はそっとポケットから飴玉を取り出して差し出した。甘い飴を口に含みながら、彼女の顔を間近で見る勇気は出なかった。ただ胸の奥がじんわり温かくなるのを感じていた。
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第六章 あきこ(中学校のクラスメイト)
中学に進むと、またしても「あきこ」という名の子に恋をした。小学校の彼女とは別人だが、その子豚と形容して間違いない顔立ちは相変わらずだった。教室を抜けて二人だけの理科室に逃げ込んだとき、彼女の鼻息が荒く、目がきらきらと潤んでいるのを見た。
理科の実験台で二人肩を並べ、エタノールランプの火を覗き込む姿がシルエットのように浮かび上がる。僕は思わず彼女の手を取り、「怖くない?」と尋ねた。彼女は「ううん、楽しい」と笑って返し、その笑顔に僕は一生忘れられない魔法をかけられた。
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第七章 さやか(高校時代・電車通学の中で)
高校に入ると通学に電車を使い始めた。毎朝、同じ車両に乗り合わせるのは、さやかちゃん。肌が白くて透き通るように美しい一方、顔立ちは豚顔そのもの。僕は彼女のことを心の中で「白豚」と呼んでいた。
彼女は座席の窓側に腰掛け、イヤホンで音楽を聴きながら風景を眺めていた。電車の揺れに合わせて肩口のセーターの羽織りが少しずつずれるのを見て、僕の胸は不思議な高鳴りを覚えた。言葉を交わしたのは一度だけ、彼女がトンネルの暗闇でこちらを見て笑ったときだった。
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第八章 みみ(予備校での同級生)
センター試験を控えた予備校でも、僕はまた豚顔の彼女に出会った。名前はみみちゃん。おしとやかな雰囲気で、同じ授業を受けるときはいつも前から三列目に座っていた。長い髪を後ろでひとつに束ね、頬がぷっくりした顔は子豚そのものだった。
ある日、彼女がノートを忘れて困っているところを助けた。「ありがとう」と差し出された笑顔の裏側で、心臓が跳ね上がる音が聞こえた気がした。放課後、自習室の自分の席に戻ると、彼女の使った消しゴムのかすが机に残っていて、僕はそれに一日中触れていたいと思った。
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第九章 まなみ(回転寿司のバイト仲間)
大学生になってから始めた回転寿司のアルバイトで出会ったのが、まなみちゃんだ。働く姿はテキパキとしていて、元気いっぱい。顔は豚顔で、小鼻を膨らませながら大皿を運ぶ姿が可愛らしかった。性格が明るかったせいか、絶えず彼氏が途切れず、僕がアプローチできる余裕はまるでなかった。
それでも僕は、休憩時間に彼女と隣同士になれるだけで幸せだった。きらきら光る湯呑みを通して映る彼女の笑顔に、僕の心は何度も救われた。
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エピローグ
九人の豚顔女性たち――あきこ、えりか、ちあき、ともみ、りさ、あきこ(中学)、さやか、みみ、まなみ。誰一人として交際に至らなかったけれど、僕の中ではかけがえのない初恋の数々だった。彼女たちの「豚顔」は、僕にとってただの顔立ちではなく、笑い声や仕草、居心地のよさを象徴している。
今、隣にいる妻とはうまくいかず、夜中にふと目を開けるといつも過去のあの笑顔たちを思い出す。豚顔だったけれど愛おしかった彼女たち。僕はもう一度、自分の心に素直になってみたいと思う。もしかすると、ここから妻との関係を見つめ直すヒントが見つかるかもしれない。──豚顔の記憶は、僕の心をそっと照らし続けている。
【豚化萌えの感想】
もちろん、実話のストーリーはそれぞれ少しずつ違うのですが、それでも何となく当時を思い出せて良いですね。万が一、特定されると困るので何人かの名前は変えておりますが、実際の名前そのままの女性もいます。
そんな感じで豚顔の女性にアプローチかければ良かったのかなあとか、たまに思っている時もあります。




