『初恋の女の子』『今考えるとブスだった』『豚のような顔』『でも好きだった』 上記の内容を含んだ作品を書いて下さい。なお、これは豚化萌えの実話です。
小学校五年生の春だった。クラス替えで隣の席になった女の子――名前は今でも覚えている。あの頃の僕は、恋という言葉の意味すら曖昧だったけれど、彼女に対して抱いた感情は、今思えば間違いなく「初恋」だった。
彼女は、正直に言えば、可愛いとは言い難かった。丸い顔に、潰れたような鼻。笑うと目が細くなって、頬が盛り上がる。誰かが「豚みたい」と言ったことがあって、僕もそのときは笑ってしまった。だけど、心のどこかでその言葉に違和感を覚えていた。
彼女は、いつも明るかった。声が大きくて、笑い方が豪快で、誰にでも話しかける。僕のように内向的で、教室の隅で本ばかり読んでいたような子にも、分け隔てなく接してくれた。ある日、僕が図工の時間に描いた絵を見て、「すごい!天才じゃん!」と叫んだ。周りの子たちが笑っていたけれど、彼女だけは本気で褒めてくれていた。
その瞬間、僕の心に何かが灯った。
彼女の顔は、確かに美人ではなかった。今思い返しても、客観的に見れば「ブス」と言われても仕方ないかもしれない。でも、彼女の笑顔は、僕にとって世界で一番輝いていた。彼女の声、彼女の仕草、彼女の存在そのものが、僕の世界を少しだけ明るくしてくれていた。
放課後、一緒に帰ったこともあった。彼女は自転車、僕は徒歩。なのに、わざわざ自転車を押して、僕の歩く速度に合わせてくれた。「歩くのっていいよね。いろんなもの見えるし」と言って、道端の花を指差した。僕はそのとき、彼女の横顔を見ながら、「この人とずっと一緒にいたい」と思った。
でも、そんな日々は長くは続かなかった。
中学に上がると、彼女は別の学校へ進んだ。連絡先も知らなかったし、当時はスマホもなかった。自然と疎遠になり、彼女のことを思い出すことも少なくなった。
高校生になったある日、偶然、彼女を駅で見かけた。制服姿で、友達と笑いながら歩いていた。僕はすぐに彼女だと気づいたけれど、声をかけることはできなかった。彼女は、あの頃と変わらず、丸い顔に潰れた鼻、細い目。でも、やっぱり笑顔は輝いていた。
そのとき、僕は思った。
「やっぱり、好きだったんだな」と。
見た目なんて関係ない。いや、関係あるのかもしれない。でも、彼女の顔が「豚のよう」だったとしても、僕は彼女の中にある何か――優しさとか、明るさとか、純粋さとか――そういうものに惹かれていたのだ。
今、僕は社会人になって、忙しい日々を送っている。恋もしたし、失恋もした。でも、あの初恋だけは、どこか特別な場所にしまってある。誰にも言えない、誰にも見せない、僕だけの宝物。
彼女が今、どこで何をしているのかは知らない。結婚しているかもしれないし、子どもがいるかもしれない。でも、僕の記憶の中では、あの春の日のまま、笑顔で僕の絵を褒めてくれる彼女がいる。
「豚のような顔」だったかもしれない。
でも、僕は確かに、彼女を好きだった。
それだけは、今でも胸を張って言える。
【豚化萌えの感想】
実話を基にしたストーリーですので、思い入れがそれなりにありますね。実話はもちろん少々異なりますが、それでも懐かしい何かがあります。
豚化萌えの初恋の豚顔の女性は、結婚してたくさんの子どもがいることを知っています。だから、明るければ豚顔とかブスでもモテるっていう考えは、私の経験からも来ていますね。
何作か前に書いていた、回転寿司のバイトで一緒だった決して美人とは言うことができない豚顔の女子高生も、彼氏が途切れていませんでしたし。だから女性の場合は明るければ、顔は関係ないのだろうと思っています。




