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士官学校②

 そして次の日。ライズは水帝の魔法のお陰で完全に復帰していた。高位の魔法を使える水帝はライズの怪我程度なら簡単に治癒して見せた。まあ、半分になった人間に会話出来る力を与える程の魔法なのだから、その程度はお手の物だったらしい。何はともあれ、無事に授業に出たライズと水帝。この学園は基本的に午前中に座学、午後に戦闘訓練を実施するようだった。


 今は午前であり、座学なのだが……



ライズ「……水帝」




水帝「なに?」




ライズ「……僕、授業に参加出来てる気がしないんだけど」



 ライズは水帝の宣言通りに椅子として使われていた。ノートをとれなければ、黒板を見る事さえも叶わない。



水帝「文句は無しよ。言い付けを聞かないあなたへの罰も兼ねてるんだから」



ライズ「それを言われると何も返せない……」



水帝「けどその……休憩くらいならさせてあげなくもないわよ?」



ライズ「それなら大丈夫。水帝は軽いから」



水帝「そ、そう……///」



ライズ「ごめん、本当の事言うとちょっと重い」




 次の瞬間、講堂内にライズの悲鳴がこだます事になった。



 そのまま学食を食べ、午後の授業になる。午後は実技の授業となるのだが……。




 ザバァァァァァァァァン!!!



生徒達「おおおおぉ!」



 闘技場に津波が起きる。しかしその規模があまりに大きすぎ、闘技場は水浸しになってしまう。



水帝「かなり手加減したつもりなのだけど……ここは狭すぎるわ。もっと広い所はないの?」



 と、水帝は不満を担任へとぶつける。



担任「じゃ、じゃあ水帝様は場所を変えましょうか……」



 そう担任は苦笑いを浮かべて水帝と共に場所を改める。



担任「じゃあ、いつも通り女子生徒は魔力錬成訓練、男子生徒は剣術訓練をしていてください」



 と言い残して担任は水帝と共に消えてしまう。



ライズ「剣術訓練って言われてもな……」



 ライズに剣術の心得はなく、またその手合わせを頼める相手もいない。



 途方に暮れていたライズだったが……



男子生徒「ライズ、だったよな?」



ライズ「え?」



コルト「俺はコルト。よろしくな、こっちはグラップ、それとジョシュだ」



グラップ「よろしくな……」



 と小太りな少年が。



ジョシュ「よろしくね」



 と美形の青年がそれぞれ返して来る。



ライズ「初めまして。知ってると思うけど僕はライズ。改めてよろしく」



コルト「じゃあライズ、早速だけど俺らと剣術訓練やろうぜ」



ライズ「ありがとう。ちょうど相手が居なくて困ってたんだ」



コルト「そんじゃまあ……」



 と、コルトが腰にした剣を抜いて構える。



ライズ「え?」



 対するライズはまだ構えてすら居ない。



コルト「お手柔らかに死んでくれや!!」



ライズ「ちょ!?」



 突然踏み込むコルト。



 速い。まるで風のような速さでコルトは踏み込んで来る。



 しかしライズは大きくバックステップをしてコルトの一撃を回避し、遅れて腰の剣を抜く。



ライズ「ごめん、僕剣術の心得ってのが無いんだ。だから……」



コルト「ごちゃごちゃうっせぇ!!」



 コルトが再び踏み込みと同時に剣を振り下ろす。



 だが次の瞬間……



 バキンッ!!!



ライズ「だから、いまいち加減の仕方がわからないんだ」



 ドスッ



 切っ先が二人の脇に落ちる。コルトは折れた剣を見てたじろぐ。



ライズ「ごめん僕昔から力だけは無駄に強くて……。剣術ってやっぱり力の加減が上手く出来ないや」



 ははは、と笑い飛ばすライズ。その姿にコルトは青筋を立てる。



コルト「テメェ! やっちまえ!」



 コルトの声を合図に、グラップとジョシュが動き出す。



ライズ「ええ!?」



 突然の3対1の状況に戸惑うライズ。しかしライズは囲むように押し寄せる三人を軽くあしらってしまう。



 まず背後から押し寄せたグラップの剣を払い落として蹴り飛ばし、次にジョシュを剣ごと吹き飛ばし、最後に殴りかかって来たコルトに足を引っ掛けて転ばせる。



ライズ「えっと……大丈夫?」



 三人に恐る恐る尋ねるライズ。すると転んでいたコルトが勢い良く立ち上げる。




コルト「もう許さねえ! 殺してやる!!」



 そう告げたコルトは右手を前に突き出した。



コルト「“我猛き焦がす者、紅蓮を形とし、我が手に宿れ!!”」




 詠唱のようなものをコルトが唱えると、コルトの手元に火線が駆ける。



 1メートル半程のそれをコルトが握ると、その手には赤い剣が握られていた。



 コルトがひと振りすると、それを追うように炎が巻き上がる。



ライズ「凄い……」


 コルトが不適に笑い、ライズはただただその力に感動していた。と、



 グラップ「止めろよコルト、それは流石に不味いって!」



 グラップが腹を抱えて立ち上がりながら告げる。



コルト「うるせぇ! ちょっと痛め付けるだけだ。それに……」



 コルトは剣を低く構えて腰を落とす。



コルト「コイツは魔族なんだろ? 死ねば喜ぶ奴の方が多いだろ!」



 告げた瞬間ライズの目の前からコルトが消える。



ライズ「な!?」



 突然真横に現れたコルトにライズは驚きを隠せない。まるで別人のような戦闘能力の上昇に、ライズは呆気にとられてしまう。


 それでもライズの体は思考に反して動き出し、コルトから距離を取ろうと後ろに飛んでいた。



 コルトの袈裟斬りが空を切る。しかし次の瞬間には目の前で炎が渦巻き、ライズはその炎に肩口から右下腹部までを焼かれる。



ライズ「ぐあッ!!!」



 痛みにライズは声を上げて地面を転がる。



ライズ「ま、参った! それ強すぎるし危なすぎる! 何よりめちゃくちゃ痛いからもう止めよう!」



 そうライズは手を出してコルトを制止しようとする。


 だが……



コルト「今更なに言ってんだ……? これは戦争の為の訓練なんだよ。戦争に待ったなんてねぇんだよ!!」



 コルトはそう告げて剣を持ち上げる。ライズも直ぐ様立ち上がるが間に合わない。


 コルトの剣が振り下ろされる。



 後ろに飛び退きながら剣を構えるライズ。だがコルトの剣はライズの剣をバターのように切り裂きながら、切っ先でライズの体を袈裟斬りにする。



ライズ「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 悲鳴を上げて再び地面を転がるライズ。傷口から炎が舞い上がり、耐え難い激痛がライズを襲う。あまりに強いその痛みが、ライズに意識を閉ざすことすら許さない。



ライズ(痛い、痛い痛い……!!)



 フレアの時と同様に、ライズは弱音を吐きそうになる。しかしライズの脳裏にふと先日の水帝が思い浮かぶ。



ライズ(負けられない……。また水帝に心配かけられない……!)



 ゆっくりとライズは立ち上がる。それでも痛みが襲い掛かり、気を抜けば膝から崩れそうになる。




ライズ(これ以上攻撃は貰えない……けど)



コルト「なんだ、大人しく死ぬ気はねぇってか? だったら……」



 コルトがライズの目の前から消える。



 だがライズはコルトが移動する先を読んでいた。先程同様コルトは左から突如現れる。コルトの振る斬撃を、ライズは伏せてから回避して大きく後ろに飛ぶ。



コルト「もっと楽しませてから死ねや!!」



 再び消えるコルト。今度はライズの目の前に現れて剣を振るう。ライズは縦に振られた斬撃を半身を反らして避け、再び後ろに飛ぶ。



ライズ(思った通りだ……。あの剣、斬撃の延長線上に居なければ相手を燃やせないんだ!)



 ライズは気付いた。先程から受けた炎の攻撃は、あくまで剣が通過したその先でしか威力を発揮出来ていないのだ。そうでなければライズは今頃、フレアの時のように体の前面全てを焼かれているはずだった。つまり、剣が振られる側面へ移動出来ればそこはコルトの射程圏外なのだ。



 それは同時に、コルトのある弱点も顕にしていた。



コルト「ちょこまか逃げんじゃねぇ!」



 再びコルトが消える。



ライズ「ああ。もう逃げないよ」



 ライズは足下に落ちた剣を蹴り上げて手に取る。それは先程グラップの手から落とした剣だった。



 再びライズの目の前に現れるコルト。だがその瞬間ライズはコルトの方へと飛び出した。



 ハッとしてコルトは目を見開く。そしてその一瞬剣を構えたまま固まってしまった。



 その一瞬をライズは突く。ライズは剣の腹をコルトの喉に押し付けて制止する。



 しばらく二人は止まったままになる。



ジョシュ「なにやってんだコルト! さっさとそいつを殺れ!」



コルト「くっ……!」



ライズ「出来ないよ。この至近距離じゃ、君の剣の能力は使えないはずだ。君はそんな剣を使っておきながら汗一つかいていない。剣を溶かす程の高温を放ちながら、君だけは熱くないってのは理屈が通らないからね。差し詰め、切っ先だけを高温にする事で君は自分の身を守っているんじゃないかい?」



コルト「クソ!なめんじゃねぇよ!!」



 コルトの叫びに応じるように、コルトの剣は炎を上げる。ライズは一瞬その熱量に離れそうになるが、痛みと熱に耐える。その理由は……



コルト「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」



 突然コルトが悲鳴を上げる。すると辺りに肉の焦げる臭いが立ち込める。



 コルトの手のひらから火が上がり激しく燃え始めた。しかもコルトは痛みの反射による人間の本能で剣を握ってしまい、もう柄を手放す事は出来ない。



ライズ「くっ!!!」



 ライズは咄嗟にコルトの剣の柄を握る。



ライズ「ぐっ!! おおおおぉ!!」



 そのまま気合いの声を上げてコルトから剣を取り上げ、遠くへと投げ飛ばした。



 ライズの掌は火が燻り、真っ黒になって酷い火傷を負っていた。



 しかしコルトの両手はライズの手以上に焼かれており、焼け焦げた手からは肉が剥がれ落ち、所々骨が覗いていた。そんな酷い火傷を肘の先まで負っているのだ。



コルト「……………………」



 そんな自分の有り様を見て、コルトは茫然自失の様子だった。



 すると辺りがざわつき始める。ライズはその時初めて、騒ぎを起こした事によって生徒達の注目の的になっているのに気が付いた。



担任「何ですかこの騒ぎは!?」



 遅れて担任が現れ、その惨状を目にして息を詰まらせた。



 同様に着いて来た水帝も、状況を見て驚く。しかし担任とは違って水帝はすぐに冷静になってライズのもとへと歩み寄る。



水帝「あなたまた……」



ライズ「僕は後でいい。彼を治してあげられるかい?」



 不満気な表情の水帝。だがその目をコルトに向けると、気後れするようにゆっくりとコルトへと歩み寄る。



 するとそのまま回復魔法をかけてコルトの手を治療して見せた。



 素人目にも手の施しようがないのが分かる有り様だったコルトの手がみるみる内に治っていく。その様子に担任を含めた皆が声を上げた。



 と、そこに……



ライズ「ぐっ……!」



 皆の声とは別に、呻き声を上げながらライズが大きく横に飛ぶ。



 その頬には青い痣があり、口元からは血が伝う。



 地面を転げ落ちたライズ。そんなライズは、吹き飛ばされて間もなくその頭を勢い良く踏みつけられる。



グラップ「よくもコルトをやりやがったな!! 奴隷の分際で!」



 グラップは声を荒げながら何度もライズを踏みつける。


 更に、身動き出来ないライズの腹部に蹴りが入る。



ジョシュ「死ね魔族め!!」



 二人は容赦なくライズを痛め付ける。



 そんな二人を見て、水帝はゆっくりと立ち上がって二人に近付く。その道中、ライズが手放した剣を手に取りながら。



 そのまま水帝はジョシュの肩を掴む。



ジョシュ「ああ!?」



 不機嫌に振り返るジョシュ。次の瞬間水帝の剣が一閃する。



ジョシュ「え……」



 ボトボト……



 鈍い音を立てて、ジョシュの腹部から内臓が流れ出す。



ジョシュ「うわぁぁぁぁ!!!」



グラップ「ジョシュ!!!」



 悲鳴を上げるジョシュと、それを見て狼狽するグラップ。



 すると次の瞬間水帝はグラップの前に立っていた。



 水帝が剣を閃かせる。



 その刹那、グラップは体のバランスを崩して地面に落ちた。



グラップ「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!手が……足がぁ!!!」



 泣きわめき、叫び散らすグラップ。



 水帝はそんな二人にすぐに回復魔法をかける。



 するとコルト同様、その傷は一瞬で治癒してしまう。



 ただジョシュの腹腸はその場に残り、グラップの地面に落ちた手足もまだ独りでに動いていた。



 だがそのどれもが突然過ぎて、二人は唖然としたまま何も言えず、地べたに膝まずいていた。そんな二人の前に水帝が立ち、告げる。



水帝「私、見ての通り剣術があまり得意でないの。だから元気が有り余っているあなた達に練習相手を頼みたいのだけど、いいかしら。安心して? これでも治癒は得意だから、少しくらいの怪我ならすぐ治してあげるから。どう?」



 笑顔で告げる水帝。すると二人はその目や鼻から体液を流し、地面へと頭を擦り付ける。



グラップ「ごめんなさい無理です! すみませんでした!すみませんでした!」



ジョシュ「もうしません! もうあなたの奴隷を傷付けてませんから! どうか許してください!!」



 ザシュ



 水帝の剣が膝まずくジョシュの手のひらに突き刺さる。



水帝「すみません……は虫が良すぎるんじゃないかしら?」



 ザシュ、ザシュ!



ジョシュ「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」



 ジョシュの悲鳴が辺りにこだます。それを無視して、水帝は何度もジョシュに剣を突き立てる。



水帝「謝る相手も違えて、軽々しく頭を下げて、あなたには竜人族としての最低限の礼節や品位すらも無いのかしら?」



 水帝の剣により、もはやジョシュの手は原形を留めていなかった。



ライズ「水帝……」



 と、そこにライズが水帝の肩に手を置いて水帝を止めた。



ライズ「水帝、もういいよ。彼の怪我を治してあげてくれ」



水帝「………………………………」



 水帝はしばらく無言でライズを睨んでいた。だが地面から剣を引き抜くともう片方の空いた手で回復魔法を使い、ジョシュの手を元通りにする。



水帝「気が変わったわ」



 そう告げて水帝はその場を後にする。



 そんな水帝を血だらけになり、腹部を抱えながらライズは追う。



コルト「どうしてだ!!」



 その時コルトが声を上げた。



コルト「そいつは魔族だろ!! 何でそんな奴をあんたが庇うんだよ!! よりにもよって水帝のあんたが!!」



水帝「……私の奴隷だからよ」



 弱々しく告げて水帝はその場を後にした。










ライズ「ありがとう」



 部屋につくと早速水帝がライズの治療を行う。それに対して感謝の言葉を告げるライズだが、水帝の目は鋭いままだった。



水帝「あなたも間違いを犯しておきながら最初に謝罪が出来ないのかしら」



ライズ「……ごめん」



 若干気圧されるようにライズは答える。いつも鈍感なライズにも感じ取れる程に、水帝は未だ怒りを露にしていた。



ライズ「やっぱり勝手に戦い出したの怒ってる?」



 その問いに水帝はすぐ答えない。ただ長い沈黙が続き、そしてため息をついてから答える。



水帝「そうね。いくら言っても私の言い付けを何一つ聞いてくれないあなたに、正直憤りを感じたわ。けど授業だし、何よりあなたが魔族であることを考えれば今後もこういった事は続くでしょうね。それを怒っても仕方ないのに、私もすぐ気が付くべきだったわ。私も強く当たってごめんなさい」



ライズ「ははは……なら良かった。正直怒った水帝怖かったから、すぐ元通りに戻って欲しかった」



 そう軽く返すライズ。しかしライズは水帝が思い詰めていた理由が何となくだが分かっていた。




ライズ「……ごめん」



水帝「もういいって言ったでしょ? 謝罪の言葉は一度でいいわ」



ライズ「違うよ。君に辛い思いをさせたと思って。君に同族を傷付けさせる羽目になってしまった。コルトの言っていた事を気にしていたんだろう?」



水帝「…………」



 水帝は顔を落として治癒を中断する。



水帝「迷ったわ。あなたを助けるか、それともあのまま見ているか……。水帝という立場にある私が竜人族を傷付けて魔族を救うのかと。私にはまだ、どちらが正しいか分からない」



 ライズも思わず顔を伏せてしまう。


 その葛藤は恐らくライズもこの先抱える問題に他ならず、そして覚悟を決めなければならない。



ライズ「ありがとう」



 改めて告げるライズ。その言葉に水帝はゆっくりと顔を上げる。



ライズ「毎日、僕の認識がどれだけ甘いのか思い知らされる。けれどその度に水帝が助けてくれてるから僕はまだ頑張れる。君にいつも支えられてる」



 水帝は頬を僅かに赤くしながらライズから目を反らす。



水帝「……感謝の言葉も一度で充分よ」



 ぼそりと呟くように水帝は告げた。



ライズ「水帝、僕は大丈夫だから。だからもしまたああいう事があったら次は無理に助けに入らなくていいよ」



水帝「だからそれは──」



ライズ「僕は君が同族と争うのを見たくない。……違うな。僕はあんなふうに苦しむ君をもう見たくない。それが自分のせいだと分かってるから、尚の事僕は君に手を出して欲しくないんだ」



水帝「……そう」



 短く返しながら水帝は再び治癒を再開する。



水帝「そういう事ならもうあなたのやろうとしてる事に手は出さないわ。……ただし、あまり目に余るようならその限りではないからそのつもりでいて」



ライズ「うん。それにしても、水帝の魔法は凄いね。どんな怪我も治しちゃうから」



水帝「即死するようなものでなければ基本的に何でも治癒出来るわ。私は治癒魔法には自信があるの。……特に」



 懐かしむ様な表情になりがら水帝は告げる。



水帝「特に火傷の治癒は得意なの。その度に火傷する人が居たから……」



 水帝はそう言って少し照れる様に笑みを漏らす。その表情に、ライズはなんとも言えない複雑な気分になった。



 そしてその治癒をしていたという相手を、何となくライズは分かっていた。



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