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最強VS最強


――会議室





ブレイズ「どうした、突然呼び出して」



会議室には、ブレイズの上司、ギルドマスターが居た。



ギルドマスター「ああ来たかブレイズ。緊急事態だ。お前の……精鋭部隊第一番隊の副隊長を含めるお前の部下が、竜人族の襲撃に遭った」



ブレイズ「何故だ。奴らには俺が戻るまで待機していろと命令していた筈だが?」



ギルドマスター「奇襲されたんだ!それも竜人族の最精鋭、“炎帝”にな!」



ブレイズ「炎帝?」



ギルドマスター「ああ。なんでも竜人族の部隊では最強の人物らしい。頼むすぐに向かってくれ!恐らく奇襲されている場所はお前が部隊を待機させた場所からそう離れてはいないはずだ!」



ブレイズ「ちっ!」



魔法の嵐が止むと辺りには煙が舞い、炎帝の姿は見えなかった。



副隊長「やったか!?」




炎帝「やったと思うか?」



副隊長「な?何故生きて!?」



炎帝「そんな事も分からないのか?魔族ってのは無能しかいないらしいな。全部相殺したに決まってるだろ?」



副隊長「な!?」



炎帝「さて、そろそろ飽きたし、終わらせるか。“顕現するは我が血の色……”」



副隊長「詠唱!?」



炎帝「“灼熱の地より、聖者を滅する咎となれ”」



副隊長「総員退避!今すぐ逃げろ!早く!!」



炎帝「遅い!」



次の瞬間、辺り一面が焼け野原となり、その場には炎帝を残して何も残らなかった。



ブレイズはそのまま転移魔法の黒い霧に消え、転移した。



炎帝「死体も残らないか……やり過ぎたな?まあいいや。さっさと帰ろ。…………?」



その時、炎帝は魔力を感じ取って振り返った。



すると、何もない空間から黒い霧と共にブレイズが現れた。



ブレイズ「……これは」



炎帝「なんだあんた?通行人……には見えねえな」



炎帝の姿をブレイズは捉えた。



ブレイズ「お前がやったのか」



炎帝「違う……。なんて言っても見逃してくれないよな?」



ブレイズ「場合によってはそうなる。ここに俺の部下が居たはずだ。だがどういう訳か突然気配がなくなった。魔力の反応も、生命反応も全てだ。やったのはお前か」



炎帝「そうだと言ったら?」



ガンッ!



次の瞬間ブレイズは炎帝に切りかかった。



だが炎帝は炎で剣を形成し、それを防ぐ。



炎帝「おいおい勘弁してくれよ……。俺はもう帰りたいってのに、さ!」



炎帝は炎で作った剣を爆発した。



だが爆発するより速くブレイズは後退する。



炎帝「ほう、なかなかいい反応だ。少なくともさっきの連中よりは楽しめそうだ」



ブレイズ「その魔法……お前が間違いなく炎帝だな。……まだ子供か」



ブレイズは炎帝の動きを伺い動かない。



炎帝「そういうそっちはその防御魔法が組まれたロングコートから察するに、魔族の精鋭部隊の隊長だろ?あんた何番隊なんだ」



ブレイズ「……………………」



ブレイズは炎帝の言葉に応えない。



炎帝「ふっ……答える義理はないってか?滑らかたもんだな!!」



炎帝は手のひらを翳し、そこから炎の魔法を機関銃のように連射する。



それをブレイズが剣で受けようとするが……



ドン!!


バキン!!



剣は炎に当たった瞬間に爆発し、砕けた。



ブレイズは剣を捨て、横に走って魔法を避ける。



炎帝「甘い!」



だが炎帝は空いた片方の手で圧縮した炎を創る。



そして圧縮した炎をブレイズに向けて放った。




ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!



次の瞬間、ブレイズの居た場所に雲を割く程の火柱が立ち上がった。



炎帝「フッ……何が精鋭部隊だ」



炎帝はその場から立ち去ろうとした。



……だが



炎帝「!?」



炎帝は驚いた振り返った。



ブレイズの気配がまだ残っていた。



火が収まったそこを見ると、ブレイズが横の巨大な翼二枚を前に向けて防御していた。



炎帝「あの攻撃をあの羽で防いだのか!?」



ブレイズは防御の体制を解いて炎帝の方へと向かう。



炎帝「ふっ……そうか。お前は精鋭部隊の隊長だったな?舐めてたよ。ならこっからは本気で行くぞ!!」



炎帝の体に、刺青のようなものが広がって行く。



炎帝「これは黒龍の呪印って言ってな?黒龍と契約した俺はその黒龍の力そのものを使う事が出来る。さて……俺に勝てるか?」



黒い炎で剣を作り、炎帝はブレイズへと向かった。



炎帝が黒い剣を振る。



それに対し、ブレイズも転移魔法で新しい剣を召喚して黒い剣を防ごうとした。



だが……



ジュッ!!



ものが溶けるような音と共にブレイズの剣が黒い炎に食われる。



黒い炎は一瞬でブレイズの手元まで燃え伝わる。



ブレイズは柄だけになった剣を手放して後ろに下がった。



炎帝「どこに行く気だ?」



だが下がったブレイズのすぐ後ろに炎帝は一瞬で回り込んだ。



炎帝の剣が振られる。



ブレイズはそれを伏せて回避する。



そして先程より大きく後ろに飛ぶが……



炎帝「ほら、こっちだ!」



炎帝は更にブレイズの後ろを取った。



……だが



炎帝「ごはッ!!」



炎帝は突然吐血した。



ブレイズ「?」



ブレイズは足を止めた。



炎帝「はぁ……はぁ……。クソ、もうかよ……」



炎帝は口から伝い落ちる血を手の甲で払う。



炎帝「悪ぃな。この力は時間制限付きなんだ。一気に行かせて貰うぞ!!」



炎帝は再び姿を消し、一瞬でブレイズの目の前に飛び込んだ。



ブレイズは剣を構えて防ごうとする。



だがその瞬間に炎帝は後ろに移動していた。



ギリギリで反応してブレイズは後ろに剣を振る。



だが炎帝はそこから消え、更にブレイズの後ろを捉えた。



炎帝「ここだ!」



炎帝はブレイズの背に黒い剣を振り下ろす。



……だが



ブレイズ「…………なる程」



炎帝「なっ!?」



ブレイズは炎帝の後ろに回り込んだ。



そのまま炎帝の腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。



ブレイズ「……竜人族最強などと言うから慎重に戦っていたが、所詮はただの子供か」



炎帝「ぐ……参ったねどうも。さっきまでのは本気じゃなかったってか?」



炎帝は立ち上がり、口から垂れる血を拭った。



炎帝「だが、俺だって本当に本気じゃなかったんだよ……」



ブレイズ「……面白い。なら本当の力を見せてみろ」



炎帝「ふ……死んでから後悔しろ!!」



二人の周りを半円状に黒い炎が展開した。



炎帝「この炎に包まれたら最後。ここは術者の俺ですら外に出る事が出来ない絶対領域!呑まれた者は例え俺を倒そうとも、この炎に呑まれて死ぬ!」



炎帝は両手に黒い炎を帯び、そして両手に剣を持った。



炎帝「ほら、せめて死ぬ瞬間まで俺を楽しませろよ!」



炎帝はブレイズに襲い掛かる。



だが……



ガキィィィィン……



炎帝の剣はブレイズの翼に防がた。



ブレイズ「言っただろ。お前はただの子供。所詮俺の相手は出来ない」



炎帝「な!?」



突如、転移魔法でブレイズは霧に消え黒い半円の中から抜け出した。



ブレイズ「自分の魔法での自滅がお前には似合いだ」



ブレイズはもう一度転移し、その場から消えた。



後にその黒い半円は消え、そこに炎帝の姿は形すら残さず消え去っていた。

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