量子波ドーム体験記
noteにも投稿してます。
「量子波ドームって聞いたことあります?」
Chat GPTを紹介してくれた同僚が、
この不思議な存在を教えてくれたのは、去年の夏ごろのことだった。
「上手いこといくと覚醒するらしいですよ」
面白いなと思ったものの、
いかんせん、ちょっとお高い。
「やってみたいけど、
今はちょっと手が出ないかなあ」と話していたら、先月末ごろまた教えてくれた。
「前に言ってたアレ、
今半額キャンペーン中です!」
そうなれば、話は別。
俄然やってみたい。
最初は
一緒に行こうと話していたが、
中々休みの予定が合わない。
「いいですよ!フライングで」「でも、後で感想聞かせてくださいね!」
その言葉に甘えて、
さっそく一番近い休みに予約を入れた。
待ちに待った休み、
一路、新大阪の本草閣自然療法センターへ。
途中、
なんとなく思い立ってコンビニで水を買った。
新大阪駅からそれほど離れてはなかったが、
マンションやアパートが並ぶ細い道に入った場所にあって隠れ家のような雰囲気。
まだ真新しい感じがする。
ガラス張りの扉をくぐって中に入ると
木の香りがした。
ミントティーを出してくださったので、
飲みながら簡単にアンケート用紙を記入。
住所や氏名の他、
気になる症状を記載する欄が3箇所と
末尾に特に叶えたいことを記載する欄があった。
「今のところ健康で、
特に気になる症状とかはないのですが…」
尋ねると、
「こうなりたい!とかでも大丈夫ですよ」とのこと。
自部軸をしっかりさせたいこと。
覚醒に興味があること。
将来のビジョンをもっとハッキリ描きたいこと。
お金のブロック外し。
もっと安心したいこと。
書いていたら、
そう言えば肝と胆がなんとなく気になっていたのを思い出して、それも書いた。
記入が済んだら、いよいよドームへ。
なんとなく円形かピラミッド型で
何人か入れる程度の大きさの
真っ白い空間で瞑想するような感じを想像していたけど、なんとドームは一人用。
まさかの引き出し型のスタイル。
「量子ドームは宇宙船みたいなイメージです」
「寝そべって入ってください」
「お水とか持って一緒に入っても良いですよ。
波動水になります」(←!!)
近未来的な銀色の天井は確かに宇宙船っぽい。
中は明るく、
天井は圧迫感を感じさせない程度に高い。
アロマはアンケートを元にセラピストの方が2種類持ってきてくださったので、
そこから一つ選ぶ。
もちろん水も持ち込んだ。
「この時間は、思考を止めて五感に集中してください」
「視覚は使いますけど、視界はあまり重要じゃないのでアイマスク置きますね。
第3の目のあたりを意識するのがポイントです」
その日はやや汗ばむくらいの陽気だったが、
「結構温度が下がってくることが多いので」と、
毛布をかけてくれた。
もう一枚いるか尋ねられたが、
それは流石に暑くなりそうで遠慮した。
「いってらっしゃい」
引き出し型というのはどうなのかと思ったが、
滑らかに滑る感じでガコンとしまわれると
本当に宇宙に送り出されるような感覚になる。
中に入ってすぐ、
小さな音で音楽が流れ始めた。
小学生くらいの頃、
放送で流れて聞いたことがあるような
懐かしいクラシック。
ふいに軽い吐き気と共に
何かが込み上げるような感覚がして
泣きそうになってしまった。
えずくほどでもなく、
涙が溢れるとまでもいかないが、
とにかく何かが込み上げてくる感じがして唇がわななく。
何かなぁと思っているうちに一曲目が終わり、
一曲目が終わる頃にはその込み上げるような感覚もなくなった。
曲が進む。
オルゴールみたいなイメージの音に聞こえる。
視界が明るくなったり暗くなったりする。
そうして、
白と黒をゆっくり繰り返すのを見ているうちに、
だんだんとビジョンが見え始めた。
草原でゆったりと過ごす牛の群れ。
牛は茶色というよりは橙色に近く、
ある牛は草を食べ、ある牛は何頭か集まって休んでいる。草を食べている牛が顔を上げた。草を噛みながら、艶やかな黒い目がじっとこちらを見ている。
曲が変わると場面も変わりだす。
また黒、白、黒、白と繰り返して、
そのうちに今度は
小高い丘に鮮やかな草地が見え始めた。
草地の上には教会かモスクのような白い建物があり、そこだけにスポットのように光が当たって明るい。
廃墟か、又は必要な時だけ使われているのか、人気はなく、しんとした印象だった。
ドローンで撮った環境映像みたいだなと思いながら見ていたら、
草地にいたらしいたくさんの小さな黒鳥が
一斉に空に舞い上がった。
だんだん温度が下がってきた。
毛布があって良かった。
動いてもいいと言われていたので、
試しに横を向いたりしてみる。
次に見えたのは、
太い腕に羽交締めにされて
手で口を押さえられている男性の姿だった。
だれに押さえつけられているのか、
顔は見えない。
抵抗している感じはしなかったが、
混乱しているような感じがした。
映画で歩兵役の人が着ていそうな服を着ていたが、兵士というよりは農夫のような印象の男性だった。薄汚れた麦藁みたいな色の短い髪をしていた。
今度は曲の終わりも関係なく、
カシャンと前触れなくシーンが切り替わる。
茶色っぽい毛布ーーーあるいはただの布かもしれないがーーーに包まれて横たわる塊。
布団なのかゴザなのか、
何か薄っぺらいものの上に寝かされているが、
何にせよあまり清潔ではないものに寝かされ、
包まれている。
すっぽりと包まれていて微動だにしないが、
さっき羽交締めにされていた男性が寝かされているのだと思った。
何にせよ酷い目にあったようだった。
死んでしまったのだろうか。
そう思っていたら、
またカシャンとシーンが切り替わった。
小さなベッドと長方形の格子窓、
背もたれ付きの椅子が一脚見える。
板張りの簡素で清潔な部屋だ。
自室という感じはしなくて、
病室か療養所の部屋のようだった。
椅子には白い服を着たあの男性が座っていたが、
俯きがちで視線は定まらず、無気力そうで、
少なくとも片足と片腕がないように見えた。
半開きの口からは涎が糸みたいに垂れていたが、
拭こうとする様子もない。
どうやら、正気を失くしてしまったらしかった。
私は一連の光景をただ見ていた。
当事者というよりは第三者としての意識があった。
それ以外にも色々見たが、
長くなりすぎるので割愛する。
不思議だったのは、
温度とそれから最後の30分だ。
その映像が終わったあたりからだったと思う。
急にドーム内が寒くなり始めた。
最初は肩も腕も出していたのだが、
急に(あれっ?さ…寒い)となってしまい、
最後の方は布をぐるぐる巻きにされる前のミイラみたいな格好で毛布をしっかりと肩まで引き上げていた。
最初に大人しく毛布を二枚いただいておけばよかったと思うくらい寒かった。
それから、ラスト30分。
実は、私は通常より30分多く施術を受けた。
音楽は60分までしかないとのことで、
「どうしますか?」と尋ねられた。
「音楽があった方が良かったら付けにきますし、
ない方が良かったらそのまま過ごしても構いません」
「うーん…じゃあ、自然に任せます」
事前にそんな会話を交わしていた。
だから、最後の30分は無音になるはずだ。
でも、ーーー聞こえる。
トーンはずっと聞こえていたものと同じ。
(少し音楽が止まったと思ったんだけど…
もしかして、まだ1時間経ってない?
なんだか、聞いたことがあるような…
ああ、そうそう。
アラビアンナイトの映画とか流れてそうかも)
そんなふうに首を傾げながら、
寒さと空腹に震えつつ、その音楽を聴いていた。
ちなみに、
「はい!お疲れ様でした〜」
とセラピストさんが迎えに来てくださる頃には
音楽も止んでおり、
確認したところ、やっぱり最後の30分は無音にしていたとのことだった。
温度も
「うわっ冷たい!中かなり温度下がったんですね〜。寒かったでしょう」
と、驚かれていた。
ドーム内の温度は下がりがちということだったが、どんな温度になるかは人によるとのこと。
私はかなり下がった状態になったようだ。
その後、セラピストの方に体験をシェアし、
フィードバックをいただいて
私の初量子ドーム体験は終了した。
顔の変化は自分ではよく分からなかったが、
目がパッと開いたような感じがした。
それから、強烈にのどが渇いていて、
お土産にしようと思っていた波動水は
一気飲みしてしまってお土産に出来なかった。
ごめん。