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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
2部かもしれない

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第10話 ――天使の梯子――エンジェルス・ラダー


 お昼、ルイスさんの奢りでした! ゴチになりました!

 アーサーさんは、まさか本当にルイスさんが払うとは思っていなかったらしく恐縮してたけど、ルイスさんは「いいからいいから」って、太っ腹なところを見せてくれたよ。

 いえ、見た目シュッとしたイケメンですけどね!

 なんか、一番初めにサンクレルでごはん奢ってもらっちゃった時のことを思い出しちゃったな。

 ルイスさん持ちでちょっとリッチなお昼をいただいたので、アーサーさんは例のノースサーティーダンジョンの最短ルートを案内してくれたんだけど……メルクーア大迷宮都市、広い。

 夕日が眩しいわあ。

 現場到着時が逢魔が時とか……怪異現象、アンデッド系が「これから頑張っちゃうぜ! イエッフウゥ!」な時間帯じゃんよ……。

 メルクーア大迷宮都市の中心部からノースサーティーダンジョンまで5時間かかったよ。

 アーサーさんがご飯食べてからこっちにこようかっていう提案は納得だ。



「どう? アリス、(ゴースト)いるかな?」


 空気が澱んでるんだよねえ……。

 ダンジョン周辺の住居区とかお通夜状態でシーンとしちゃってるし、これだったらまだヴァイドルフの農場地帯の方が爽やかというか陽の気があるというか。

 都心部からここだとやっぱり自給自足で畑なんかのスペースが広いし、ヴァイドルフ同様に風光明媚っていう言葉があってもいいんだけど、なんか澱んでるんだよな。

 目に見える感じじゃないんだけど、結構大量にいそうな気がする。

 一体だったら、聖なる鎮魂歌ホーリーレクイエムで対処するんだけど。


 ちょっと頑張ってみますか。


 これでもいろいろ勉強したんだよ~。

 特にルイスさんは魔法についての蔵書がすごいから、神聖魔法について、時間があるとき、ちょっと借りて読み込んでました。

 ざまあヒロインとして聖女役をやったこともあることですし、このサザランディア大陸にきてなんか魔力とかも増えてる気がするし。

 それに初めての指名依頼だし、よーしアリスさん頑張っちゃうぞー。


「光を求め留まる魂よ」


 ぎゅっと錫杖を握って詠唱を始める。


「汝の御霊を導く光に委ね給え――」


 柔らかくて優しくて、悲しい気持ちを全部救うよ、ここにいるよりも、きっと楽になる場所があるからね。

 心の中でそう祈る。


 雲がかかる上空の薄闇がサアアって刷毛を掃いたように、薄れていく感じかしら?

 目を閉じていても、そういう光がわかる。

 わたしには見えないけど、ルイスさんもアーサーさんも上空に視線を向けてる。


「薄明光線! 聖なる光!! ――天使の梯子(エンジェルス・ラダー)――」


 この光にどうか乗って!

 多分住居区も、目の前のダンジョンにも、 ――天使の梯子(エンジェルス・ラダー)――が降り注いでるはず。

 さあ、この一帯に籠る空気を清涼に!

 光が強くなったところ一定数に留まり、徐々に収束していく。


「何この広範囲浄化魔法……」


 アーサーさんがぼそりと呟く。

 え~? 失敗しちゃった? 成功だと思ってたんだけどな~?

 ぱちりと目を開けると、うん、大丈夫成功。してるじゃん。

 ダンジョン前から住居区の方へ視線を向けると、うん、薄闇になってきてるけど、家の明かりも普通に落ち着いてる。


「え~成功してるでしょ? ルイスさん」

「成功だけど、原因がお出ましかな」

「はい?」


 あれ?

 なんかダンジョンの奥からなーんか気配が近づいてくるぞ。


「アリス、下がって」


 アーサーさんも気配を察知して、腰に下げている剣の柄を握って、ルイスさんに並ぶ。

 ダンジョンからでてきたのは、男の人だった。

 え、この人って……人か? たしかに美形なんだけど、どーっか怪しい感じよね。

 わたしは遠慮なくまじまじとでてきた人を見る。


 種族;レッサーデーモン

 HP;15289000

 MP:345760000

 得意技;擬態 魅了 火炎魔法 氷結魔法 雷撃魔法 

 弱点:神聖魔法


 わたしの魅了スキルと連動してる好感度パラメーターの表示よ……悪魔やん……。人に擬態した悪魔やん。

 得意技が魅了かあ。

 でも大したことないね。わたしの魅了スキルさんの方が断然上でしょ。


「今の光は……」


 目を押えてるし眩しかったのかな……。

 ダンジョンの奥まで届くのか……天使の梯子エンジェルス・ラダー。

 検証してると目の前の男――男に擬態したレッサーデーモンに腕を引っ張られる。


「お前か……小娘っ!」

「アリス!!」

「アリスさん⁉」


「俺の目を見ろ、小娘!」


 ふむ。魅了で操ろうってことかな?

 わたしは伏せていた瞳を開けて、人間の男に擬態してるレッサーデーモンを見つめる。


「迷える子羊よ……その痛みは己の後悔からくるものですよ? 神は見捨てません。祈りましょう」


 わたしは両指を組んで目を再び閉じる。


「やめろ! なんだ! お前はっ!!」


 わたしは再び瞳を開けて、レッサーデーモンを見つめる。


「……おかしいだろ! なんでプリーストが、そんな魅了魔法を持ってる⁉ 見るな!」


 見るなというならもう一度目を閉じて、祈っちゃお。


「その御霊は、本来、愛を知る魂。さあ、悔い改めて祈りましょう。慈悲深き神の元へ安らかなる天上へ」


 わたしをつかむ手に光が纏う。


「神は赦し、愛します」


 光がレッサーデーモンを包む。

 断末魔の叫び声が聞こえたような気がするけれど、私の頭の中で荘厳なパイプオルガンと賛美歌が鳴り響いて聞こえない。

 もう一回いけそうね。


「さあ、進みましょう。神の元へ。この光とともに――……薄明光線! 聖なる光!!  ――天使の梯子(エンジェルス・ラダー)――!!」


 わたしがそう唱えると、レッサーデーモンは消えた。

 うん!

 これで浄化完了でしょうかね?



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