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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第71話 イリーナさんのおうちでクリーンサービス



「イリーナさん、大丈夫?」


ケイトリンさんがルイスさん達『シー・ファング』の大迷宮踏破凱旋パレードの知らせを伝えに来てくれて、わたしとメルツちゃん、ケイトリンさんはサンクレルの冒険者ギルドにまずやってきた。

冒険者ギルドで正確な情報と、イリーナさんの状況を確認するためだ。

イリーナさんは三日間ギルドに缶詰状態だったようです。


「お風呂入りたい、ご飯食べたい、24時間ぐらい寝たい」


わーお、それは大変。サンクレルの冒険者ギルドってブラックなの?


「イリーナさんは仕事ができるから、仕事が集まるのよ……割り振りしちゃえばいいのに、それをしないからそうなるのよ」


ケイトリンさんの呟きに、わたしは「あー……」と声を上げる。

ちょうどギルド職員の後輩が、「あとはやります!」とイリーナさんから仕事を引き継いだようで、イリーナさんようやく退勤。お疲れ様~。

なんかふらふらしてるから、イリーナさんを自宅に送る。

サンクレルの冒険者ギルドは独身寮があるんだけど、イリーナさんは独身寮ではなく、アパート住まい。

わかる気がする~イリーナさんぐらいだと、独身寮は使わないよね。プライベートも職場の同僚ってなんか疲れるって感じなんじゃないのかな。

イリーナさんは頼れるお姉さんだから、プライベートでも相談とか持ち込まれそうだもん。


……って思ってました。


「わーしゅごい」


メルツちゃんのお言葉。

イリーナさん! やっぱり冒険者ギルドはブラックなのか!?

汚部屋登場!


「ケイトリンさん、時間あります!?」

「アリスさんが言いたいことは把握した。ゴミからやってこう!」

「メルツおせんたくがかりね!」

「メルツちゃん、えらい、お洗濯できるのね?」


ケイトリンさんが感心したように言うとメルツちゃんは胸を張る。

「もようとか、色があるやつは別にするの、白いのが先なの!」

「アリスさん、すごいね、メルツちゃん」


いやーメルツちゃんはおばあちゃんを訪ねて〇千里してた経験と、染色なんかも趣味でするから色落ちする布の選別とかできるよ。

イリーナさんは、はっとして、意識を取り戻した。


「あわわ、いい、あの、その」


そうね、自分の汚部屋を友人と小さい子に見られたら、意識も覚醒するわね。

でもこの汚部屋はイリーナさんの仕事がハードだからっていう理由もありそう。

ルイスさんも、検証とか実験とか報告とか大量に受けてるときは、書類や魔道具のアイテムが部屋の中に散乱させてしまうことがある。


「イリーナさん、お風呂に行って」

「あの、あの、これは」

「イリーナさんは自分自身をお掃除してください」


わたしがそういうと、イリーナさんは「はい」と力なく返事する。


「書類を残し、速やかに部屋のゴミを出します! 洗いものはわたしが! ゴミはケイトリンさん! メルツちゃんは洗濯で!」

「了解です!」

「です!」


クリーンサービス開始~!

ケイトリンさんの動きが素晴らしい。

ゴミ、洗濯もの、洗い物の食器等々、手際よく分けている。

ケイトリンさん、いいお嫁さんになるわあって声をかけたら、ケイトリンさんは「いえ、わたしは、片づけるのはまあ普通なんだけど……料理が……」とごにょごにょと。


「だから、その、アリスさんがすごいなって」


いや~わたしより『うさぎの足跡亭』の女将さんがすごいよ?


「あれは、料理エプロンのせいだよ」

「はい?」

「お料理エプロン、今日はこんなこともあろうかと持参してるの、イリーナさんにちょっとご飯作っちゃお」

「え、まって、なんかそれお料理がうまくなるとかそういうの?」

「そういうの」

「え~そうだったの!? わたしも欲しい~」

「エプロン、欲しいならお友達価格で作るけど?」

「よろしくお願いします!」


ケイトリンさんは現在、彼氏のエドさんと半同棲中なのだそうだ。

エドさんも後輩ができて、ハンザ工務店さんでばりばりお仕事してるとか。そんなエドさんに手料理をふるまうも、なんだか自分でもいまいちな出来で……。


「エドはなんでもおいしいよって言ってくれるんだけど~」


あなた今、サクっと惚気ました?

いやいいんですけどね。わたしもエプロンのスキル効果で、お料理をカバーしている身なので、気持ちはわかるし。

それにしてもケイトリンさん、かいがいしいな。


「結婚まで秒読みじゃないですかー」

「えへ」


まじかよ。そういうお話があるのか。


「そういやサンクレルって結婚式はあるの?」


教会はあるっちゃあるけど、なんていうかほら、いろーんな人種がこのサンクレルに来るから他所の大陸の宗教とかもあるし、行政と宗教が分離してる。この宗教一本って感じじゃないのよね。何を信仰しててもいいけど、過度な勧誘禁止されてんのよ。

これもダンジョンを持つ土地柄っていえばそれまでなんだけど。

神様に祈って、スタンピードがおさまるなら、誰もダンジョン攻略しないだろってお話なのよね。


「そうねえ、行政部に届けて、身内や仲間と宴会するぐらいかな」


シンプルだ。


「その宴会では、花嫁衣裳っぽいのは着るよ? 街の名士とかお金持ってる人とかそういう人を親に持ってる人なんかは、比較的ゆるゆるな宗教の司祭に頼んで、結婚式挙げる感じよね、宴会も大きい場所借り切って」

「へ~じゃあ、あれよ、ケイトリンさん、特に宗教にこだわりなかったら、結婚するとき、わたしが司祭役やります?」

「え?」


ケイトリンさん、こっちに顔を向けてるのに、ゴミ収集の手を止めない。


「一応、プリーストなんで、あとよかったら、花嫁衣裳作ろうか? 友達価格で」

「アリスさん~‼」


やっぱり結婚式はさ~女の子にとっては夢があるじゃないの。

人生の節目なんだし。


「嬉しい~、わたしそんなどうしたらいいの~」

「これからもわたしと一緒に遊んでサンクレルのことサザランディア大陸のことを教えてくれればいいのですよ」

「アリスさん~!」


とケイトリンさんが感極まってるところに、イリーナさん登場。


「このくそ忙しいときに彼氏との結婚話……」


おう、さっぱりしたはずなのに、負のオーラがそこはかとなく漂っちゃってまあ。


「メルツちゃん、イリーナさんの髪を梳かしてあげて~」

「はあーい」


最新式魔道洗濯機(乾燥機付き)で洗濯物をせっせと片づけていたメルツちゃんが、イリーナさんの後ろに回って、長い髪を櫛削る。

ケイトリンさんはぱっぱとゴミを外に出して、わたしが作ってる料理の手伝いに周る。

コップやお皿を出したりカトラリーを出したり。

イリーナさんはメルツちゃんが後ろで髪を梳かしてあげながら「イリーナさん髪の毛きれーかわいー、イリーナさんかわいー」と言ってる。

メルツちゃん、それちょっと言霊入ってない?

いつの間にそんなスキルというか……。

イリーナさんもだんだんメルツちゃんの言葉に、いつものイリーナさんぽく(ただしやっぱりお疲れモード)になってきた。


「ささ、お風呂入って、さっぱりしました? サンクレルとメルクーア大迷宮都市についての現状、どうなってるのか、イリーナさんに聞きたくてきちゃったんだ。ケイトリンさんからも聞いたけどさ、やっぱり専門家で現場に近い人からお話聞きたくて」

「ああ……」

「ごはんも勝手にキッチン借りて作っちゃった、でも食材はわたしのアイテムバッグからだよ~」


おかゆに、卵焼き、白身魚のムニエルに、葉物野菜のあっさり炒め。スープは根菜のコンソメスープでーす。

なるべく体に優しそうなメニューで作ってみました。

それを見て、イリーナさん号泣。

ヴィジュアルですでに心に染みてる感がね。

さ、食べて食べて~。



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