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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第59話 とりあえずこのことは内密に。


「アリスおねーさん、すごーい!」

 沈黙を破り、メルツちゃんがピョンピョン飛び回っていているけど、ランスさんも、ルイスさんも顔を見合わせている。


「こんなの、値段がつけられねえじゃねーか、鎧よりも堅い木綿シャツなんて、聞いたこともねえ……防具屋の商売あがったりだ」


 ランスさんの呟きはわたしとルイスさんには拾えたけれど、はしゃぐメルツちゃんに合わせて一緒に騒ぐシャムさんに注目してるボイルさんとダグラスさんには聞こえていないようだ。


「ルイスよ……おまえ、アリス嬢ちゃんの製作物がこうなるって、知ってるのか?」

「この人、何を作るかわからないけれど、とんでもないことを時々やらかします」


 うん……ごめん、こんなのわたしも予想外だよ。

 わたしはさ、メルツちゃんが着るワンピースとかジャンパースカートとか、そういう簡単な服なら隙間時間で作ってるよ? でも、こんな付与ついてないからね。

 でもこれってさ、わたし、冒険者の服作ったら、完全絶対防御必ず付きそうじゃない?

 メルツちゃんがルイスさんの武器を作るとか張り切ってるけど、わたしもルイスさんのローブとか作ったらこの付与ついちゃう?

 いや、素材が素材だったら、もっととんでもない効果つきそうじゃない?


「『蒼狼の風』のみなさん、悪いけど、このことはあまり広めないでほしい。アリスさんの身柄が危険すぎる」


 ルイスさんの言葉にシャムさん達は顔を見合わせて頷く。


「それは確かにそうかもな」


 ダグラスさんがそう言った。


「どうして!? どうして秘密なの!? アリスおねーさんすごいの作ったよ!?」


 メルツちゃんがルイスさんのローブをぐいぐいと引っ張って言い募る。


「すごすぎて、知らない人がアリスさんを囲うかもしれないだろ?」

「かこう?」

「とじこめて、ずーとそればっかり作らせたりさ」


 ルイスさんに言われてメルツちゃんははっとした。


「やだやだ、アリスおねーさんはメルツと一緒!」


 わたしに飛びついてきたメルツちゃんを見て、ランスさんも言う。


「お前もだ、メルツ。このことは大っぴらにしちゃいけねえぞ」

「わかった! 内緒なのね。でもここにいる人にはお話ししてもいいのよね?」

「そうだ」

「メルツ秘密まもる!」


 ランスお爺さんはそれでいいと頷く。


「商業ギルドがメルツに付与のついた武器を作れないかなんて、以前ほざいてたが、これじゃ言いたくもなるだろう」


 そんなことをランスさんが呟くけど……わたし自身は服を……冒険者用の服を作りたくなってる。


「ただ普通にアンダーシャツを作っただけがこれじゃあ……」


「武器も良かったですよ」


 ぼやくランスさんにダグラスさんがそう言った。


「まあ、今回の武器はな、わしも鑑定しとる。付与効果ががっつりついてるのは、剣の柄にアリス嬢ちゃんが意匠を施したからくっついたんだろうっていうのもわかる」


 ダグラスさんの剣を見て、ランスさんは頷く。


「刃こぼれ一つもしてねえ」

「モンスターの血糊もすぐにおちるし、ここぞという時に切り込めたりしました。ボイルのトマホークがサソリの硬い甲殻を割ったのも多分、トマホークの柄の意匠によるものだとは思います」

「間違いねえな」

「ブーツもすごかった。メルツちゃんが言うように、歩いても疲れないっていうか、どこまでも進めるって感じでだから中層抜けられたんだと思う」

「なによりも、アンデッド! あたしのガントレットがちゃんと仕事してたよ! 幽体系でも浄化されてたし!」


「『蒼狼の風』のみなさんは今回アリスさんの浄化回復のアミュレットは持って行かなかったんですか?」

「一応持っていきました。中層階のアンデッドエリアの、モンスター出現率は前回のアタックと比べると、落ちてましたね」


 ルイスさんの質問にダグラスさんが答える。


「中層階だと出現率低下か……」


 あ、ルイスさんは上層階のアンデッドエリアの検証に行ってたから、中層階でのアミュレット効果も知りたい感じなのね。


「恥ずかしい話なんですが、俺達、アンデッド苦手なんで」

「大丈夫、みんな苦手だし、僕もめんどくさいなと思ってる。物理的な討伐効果が得られないから魔力頼みで僕が疲れて、エリア抜けた後、苦戦するからね」

「そうだったんですね」

「アリスさんの浄化アミュレットはアンデッドエリアだといい仕事するよ」


 ルイスさんに褒められてる!?

 雪が降るんじゃないだろうか⁉

 でも、攻略にお役にたてるとか嬉しいよね。

 アンダーシャツ一枚でとんでもない付与がつくなら、鎧なしでも、もしかして、普通の冒険者の服だけでも、身体を守れるようになるんじゃないかな……。


「わたし、メルツちゃんが武器を作るの見てて、防具作れないのがやっぱりなんていうか、自分がなんか全然力になれてないなって思ってたんだけど……普通に、冒険者用の服で防具並みの付与がつくなら、冒険者用の服、作ってみたいな」


 わたしのぽつりとこぼした呟きに、クリエイター魂が刺激されたメルツちゃんはうんうんと頷く。


「まあ、いいんじゃないかなとは思うけど……もれなく、必要のない効果も付与されそうって僕は思うけどね」


 ルイスさんのいう必要のない効果って……やっぱり……。


「「魅了スキル(さん)とか?」」


 わたしとルイスさんの言葉がハモった。


「え~あたしほしいよ~「魅了」持てないもん」


 なんてシャムさんはいうけど、この森の家でバーベキューしてる冒険者の人はもれなく、新人冒険者の憧れの人達なんですよ。

 モテモテなんだろうとわたしは思うわけですよ。


「ダグラスとボイルはモテモテだけどさ~」


 シャムさんの言葉に、ダグラスさんとボイルさんを見ると、彼らは苦笑いをしている。

 あ、はい、シャムさんやっぱモテるんだね、この二人が牽制してんのね。

 把握したわ。

 そんなこんなで、武器と防具のメンテナンスを施して、バーベキューをやってる庭に戻る。

 メルツちゃんがわたしの手をきゅっと握って、「アリスおねーさんも、ルイスせんせーの服つくる?」なんて尋ねてくる。

 いやーやってみたいけど、「魅了スキル」さんがーはりきっちゃいそうなのよねえ。

 ルイスさんも「魅了」多分持ってるんだろうから、効果がまずいことになりそうなのよ。

 メルツちゃんとわたしがルイスさんを見てるので、ルイスさんは困ったように笑って……。


「いいよ、試しに作ってみて」


 と許可をくれたのだった。 



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