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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第56話 から揚げは飲み物じゃないんだよ?

 ルイスさんダンジョンから帰還して、わたしの製作したアミュレットの研究をしてます。なので、所属クランの検証チームとか、パーティー・メンバーである『シー・ファング』のみなさんが入れ替わり立ち代わりで、この森の家を訪れてる。

 ルイスさんが言うには「クランハウスよりも静かでいい」らしい。

 クランハウスそんなに人がいっぱい住んでるのかな……。


「うん、いま400名ぐらいだよな?」

「だな」


 前々前世のマンション並みじゃん。ちなみにクランハウスは単身者専用で、結婚したら、各々住居を確保するんだって。


「あと、クランハウスに入れない人は下宿とか、シェアハウスとかに入居してる」

「あ、アリスちゃんがこの間、浄化したシェアハウスが人気だって、すぐに埋まってったんだって?」


 今日は『シー・ファング』のみなさんが勢ぞろい。そしてランチはアクアパッツァです。

 サラダとパンもつけるよ。

 そして冒険者だからみんな食べる~。

 今回はお昼代はみんなお支払いするって言ってくれてるので、遠慮せずに、受け取りますよ。

 食材の減りがはやーい。

 おさかなメインにしてみたけど、この間、メルツちゃんに頼んで深型鍋を作ってもらったから、昨日の夜はから揚げたくさん作ったので、ちょっとそれを足してみた。

 残り物でごめんね~でもから揚げは正義だからいいよね~?


「ねえ、ちょっとまって、これ何? フリッター?」


 ギブソンさんが声をあげる。


「から揚げですけど?」


「ごめん、食べるけど、見たことない料理だったから」

「いやいや、ギブソン食ってみ、美味いから! ていうかこれをメインで食べたいまである」


 シュルツさんが声を上げる。そしてから揚げは秒で食べたねこの人。

 から揚げは飲み物ではないのよ?

 まあね~油大量に使うからね~贅沢っちゃ贅沢な作りよね、から揚げって。だからこのサンクレルでも見たことないもんね。使い終わった油を濾したりするのがまた面倒なんだけどさ、使い終わった油、浄化しちゃった。てへ。

 余分なものが消えますよーにってやったら、綺麗な油になったよ。量は減ってたけど。


「お肉に粉つけてたくさんの油で揚げるんですよ」


 ガーリックとジンジャー、そしてイーストアイランド産の醤油で揉み込んでからね。


「おいしい~」

「このなんか、ニンジンのサラダなの? ツナが入ってるのもおいしい~」

「いいな~ルイス、こういうの毎食だろ」

「いや、ルイスには必要だよ、こいつは、食ったの全部魔力に還元してるから」


 あ~なるほど、ルイスさん、見た目よりもよく食べるのに太らないなとか思ってたけど、そういう理由があるのか……。


「ていうかさ、アリスちゃんの料理って、なんで魔力とか体力とか回復できるの? やばくない?」

「バーベキュー参加させてもらった後に、俺、ソロである程度ダンジョン潜ったんだけど、かなり長時間潜れるんだよね」

「それな」

「ソロでダンジョンなんて行くんですか?」


 わたしがそう尋ねると、シュルツさんは頷く。


「この間、ルイスがソロで請け負ってただろ? あんな感じよ。ルイスの場合は検証目的だったけど、俺等は必要アイテムの確保の為なんだ」


「パーティーで潜る時以外にも、そういうアイテム確保とかするんですか?」


「そりゃあね、中層階に一人で行って、帰ってこいっていうオーダーはままあるよ。ていうか、このアクアパッツァもうまいな」


 そうか、やっぱりそれなりの実力者だと、ソロの案件とかあるんだね。じゃあ、たくさん食べてね~ただしバーベキューとは違うので有料でーす。ごめんね。


「ルイスは無料なの?」

「ルイスさんは、ここに来るときに、月額で下宿金を支払ってもらってるので、そこに含まれてます」

「あ、なるほど」

「え~ここ増築してシェアハウスにしない?」

「ゆくゆくはメルツちゃんのおうちになるので、無理ではないでしょうか」

「あ~メルツちゃんのおばあちゃんの持ち物だったんだっけ……」

「はい、今は浄化管理でわたしが在住してますけど、手続きをとればこの物件は孫であるメルツちゃんの持ち物になるので」


 でも、イリーナさんに頼んで、メルツちゃんの持ち物になるように早めに手続きしてあげた方がいいかもって思うんだよね……メルツちゃんは長い旅をしておばあちゃんを訪ねてきた子だから……。

 浄化しちゃったからおばあちゃんに確認とれないけどさ、メルツちゃんを見たら、メルツちゃんに渡したいって言いそうな気もするんだよね。ゴーストになっちゃうぐらい息子を心配してた人だもの、孫がいたら、絶対にそう思うんじゃないかな。

 メルツちゃんがまた、賢くて可愛くて強くて、いい子だからさ~。


 しかしみんなよく食べたな……。

 いい食べっぷりだった。


 食後にコーヒーを出すと、みんなまったりした状態。

 そこへカウベルが鳴って、ドアが開く。


「アリスちゃん! アリスちゃん! ありがとう!!」


 そんな言葉でここにやってきたのは『蒼狼の風』のみなさんだった。


「すごかった! アンデッドエリアだけじゃなかった! 中層階抜けたわ!」


 シャムさんがそう叫ぶ。

 中層階のアンデッドエリアで苦戦していたらしいシャムさん達。

 メルツちゃんとドワーフのランスおじいさんと一緒になって武器を作った後、メルクーア大迷宮の中層階に再度アタックしていたんだけど、今帰還したところなのかな?

『シー・ファング』のみなさんもガタッとカウンターのスツールから立ち上がる。


「抜けたか! おめでとう!」

「ルイスと入れ違いに潜ったって聞いてたが、中層階アタックだったのか」

「よく抜けたな!」


『シーファング』のみなさんが、『蒼狼の風』のメンバーとハイタッチしてる。


「ありがとうございます~! 抜けました! でも安全の為に、ぬけたところで戻ってきました!」


 リーダーのダグラスさんがそういう。


「偉い! そこらへんまで潜ると初心忘れて、先に進みたくなるんだが、偉い、よく戻った」

「うちのクランで深層の情報開示、手続きとれば閲覧できるからな!」

「そのうち、俺達と共同で階層アタックするかもな!」


 ちなみに『シー・ファング』のパーティーメンバーは中層階だったら、ソロで潜ることもあるんだって。

 すごいね。冒険者同士のわきあいあいとした雰囲気、いいなあ。


「それもこれも、アリスちゃんとメルツちゃんが作ってくれた、装備のおかげだよ!」


 シャムさんがそう叫ぶと、『シー・ファング』のみなさん。特にルイスさんがじっとわたしを見る。


「アリスさん、キミ、また何かやったの?」


 え、わたし、装備作っただけだもん。

 武器はメルツちゃんだもん。

 何もしてないもん……。

 怒らないで~!!



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