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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第54話 『蒼狼の風』の武器装備のご依頼


 シャムさんがこの森の家に宿泊して二日後に、シャムさんが不審者の一人をひっ捕まえて、サンクレルの治安警備隊に引き渡した。

 その後、サンクレルの治安警備隊からはなんの連絡もない。

 今日はいつものお休みの日なので、またまたバーベキュー状態。

 イリーナさんも来て、ひとしきりべビ犬ちゃんをもふもふした後で、お食事の用意を手伝ってくれて、その時に話してくれたんだけど……不審者は海外の人間なので、強制送還どまりなのだそうだ。

 ここの土地での刑罰はないのよね、前々前世で生活していたところよりも、緩い感じがファンタジーって気もするけど。

 まあこっちも聖域結界でガッチガチの硬い防御を構築して実害はないから、元いた国に送り返してくれるのなら……まあいいかって感じだ。

 でも気になるのは海外からの不審者ってとこなのよ……。

 ルイスさんの元居たお国が、ルイスさんを戻そうとしてるのかな……って思ったりする。

 だって、大陸一の魔法使い様ですよ?

 国の政争でその力を欲しいと思う人が、一人や二人いてもおかしくないと思うわけ。

 一応、ルイスさん所属のクランマスターにお手紙でこの件をお知らせしてみた。

 その後の連絡はありませんでしたけど。

 シャムさんが捕縛してからは、不審者はまだやってこない。

 もしかしたらサンクレルにいるかもしれない。ちょっとここはわたしがサンクレルに出向いて調べてやろうかとも思ったけど、あそこは港街で人種の坩堝だから、海外からの渡航者を調べるのって時間も手間もかかりそう。

 森の家を襲撃してくるような不審者相手にわたしがとれる対策は、魅了スキルさんしかいないわけで、魅了スキルに頼ってしまったら、街の住人にも被害は及ぶ。

 やっぱり森の家に引きこもって、聖域結界で籠城しつつ、相手の出方を待つしかなさそうだ。


 そうやって、ぐるぐる考えて過ごしてるうちに、またまた週末。

 メルツちゃんとドワーフのランスさんとシャムさんが、武器作りに余念がない。

 シャムさんはあれからこの森の家に泊まりっぱなしなのだが、メルツちゃんは、ボイルさんの武器の仕上げをランスさんにお任せして、シャムさんの武器について詳細を聞き取り、測定、素材の選定に入っている。


「わたしいろいろ武器を使うのよ、ナイフ投擲と鬼爪がメインなんだけど」

「じゃあ、ナイフはこれ、いっぱいメルツつくったの。みほんにしてね」

 メルツちゃんはアタッシュケースみたいな形をした木箱を作業小屋から持ってきてシャムさんに見せる。

 パカッと中を開けると、薄いガラスが天板のようになって、いくつかのナイフが綺麗に収納されていた。コレクターケースみたいだ。


「あらお洒落なケース。コンパクトだし」

 わたしも覗き込んでそう言うと、メルツちゃんはむふーとどや顔をする。

「アリスおねーさんがおうちのお仕事してるときに、メルツつくってみた。ここに入れたのは、サイズが小さくてとうてきに向いてるもので、メルツもこれはいいなっていうものをいれてみたの」


 なるほど、これはメルツちゃんの厳選作品なのね。だからお洒落ケースも作ったと。


「そうなんだ、柄のデザインがおしゃれね」

「メルツも武器はかわいいのがいいの。かわいいとだいじに使おうっておもうの」

「メルツちゃんセンスある~」


 シャムさんはテンション高めにケースをのぞき込む。


「あら~迷っちゃう~どれもいいじゃなーい」


 口調はいつもの調子だけど、目が真剣なシャムさん。


「あと鬼爪ってどういうの?」


 メルツちゃんがシャムさんに尋ねた。


「手に装着するやつなのよ」


 シャムさんが自身の武器を装着してみせる。籠手の一種なんだろう。爪の部分が長くて特徴的。メルツちゃんは武器を装着したシャムさんの手をとって、じい~っとみてる。


「……ガントレットなのね」

「うん」

「わかった。中にあつらえるのは布がいいと思う……」

「ねえ、メルツちゃん、それならわたしがその布作ろうか。指なしの手袋みたいな感じでいいのよね? そしたらさ、浄化の付与がつきそうじゃない?」


 わたしがそう言うと、メルツちゃんとシャムさんは目をキラキラさせる。


「「それだー!」」


 メルツちゃんとシャムさんは声を揃えてそう叫ぶ。


「アリスおねーさん! 軽量化! 軽量化もつけて!!」

「了解です!」

「爪部分は、素材はどうしようかな、そんなに部分的にたくさん使用しないから、ミスリルにして、デザイン部分は~」

「銀も使わない?」


 わたしがそう言うとメルツちゃんとシャムさんはわたしを見る。


「銀ってやっぱりアンデットに効果ありそうじゃない?」

「……アリスちゃん、たまにプリーストっぽいこと言うよね」

「失礼な、一応プリーストですよ! メルツちゃんどうかな?」

「うん、うん……えっとメルツ、お絵かきするね、作る前に、こういうのっていう」

「デザイン画ね」

「うん、それ!」

「よし、じゃあちょっとシャムさん手のサイズ測らせて。毛糸で手袋つくるのとは違うから、フィットしてる方がいいじゃない? あ、そうだ、靴なら、わたしも作れる。あと、インナーシャツも」

「え~そこも?」

「なんかメルツちゃんだけ頑張って作ってるなんて、わたしも出来そうならお手伝いしたいし、服飾系なら、ほら、お仕事だし」

「くつ! メルツのブーツはアリスおねーさんが作ってくれたのよ? メルツのブーツは軽くてね、疲れないの!! アリスおねーさんのくつはすごいの!!」


 メルツちゃんはキャーっとはしゃぐ。

 そんな感じで、シャムさんの武器を作る時に、わたしでも作れるものがまだちょっとはあるので『蒼狼の風』のメンバー全員の服飾にもとりかかってみたのだった。



 そんなこんなで『蒼狼の風』のメンバーの武器や装備が完成。

 シャムさんも、この森の家からサンクレルに一度戻ることに。


「なんか想像よりもすごいのできたみたいなんだけど……」


 リーダーのダグラスさんは驚いていた。


「素材はそっちが用意してるから、出来はうちの工房となんらかわらんじゃろ」


 ランスさんがそう言う。


「一応前金でこのぐらいでどうですか?」

「わしゃ、監修費でこれぐらいはもらっとく。あとはメルツとアリスさんの技術料でいいんじゃないか?」


 ランスさんとダグラスさんが金額の交渉をしてる。一応、ランスさんの横にわたしとメルツちゃんも座ることになった。


「どうじゃ? メルツ、アリスさん」

「もらいすぎでは?」

 わたしがそう言うと、メルツちゃんはキリッとした顔で言う。

「メルツがんばって作ったから、ちゃんともらうよ?」

 メルツちゃんの言葉にランスさんはうなずく。

「ぎじゅつ料は、お金になるなら、それは大事なの、メルツはここにくるまで、いろいろあったから、そういうことはきちんとしたほうがいいと思うの」

「いろいろって」

「子供が作ったからってただでもってっちゃって、がつがつ稼いだ人、メルツ何人も見てきたから」


 ……そうか。メルツちゃんそういう経験もあっての言葉なのね。


「うん。受け取ってくれた方が、こっちも気兼ねなしに、使えるし、メンテナンスも頼めるしな」


 ボイルさんもそう言う。



「次のお仕事のためにもひつようなの」

「わかりました。では、ご提示の金額の入金をお願いします」


 そうして『蒼狼の風』の武器装備のご依頼は終了したのでした。



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